1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640599
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
於保 幸正 広島大学, 総合科学部, 助教授 (80152560)
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Keywords | 三郡変成岩 / 変形組織 / 地質構造 / 重複変形 |
Research Abstract |
平成3年度は中国・九州に点在する三郡変成岩になかで,久世地域,久留米地域および長崎地域において地質調査を行い,微小構造を解析した.その結果,次のような知見が得られた. 1.久世地域には微小構造の違いから,二種類の変成岩が分布している.一つは三郡変成岩プロパ-であり,この岩石中には三種類の面構造(片理面(S1)と2方向のちりめんじわへき開(S2,S3)が普遍的に観察される.他の一つは低度変成作用を受けた岩石であり,この岩石中にはスレ-トへき開とこれを曲げる一方向のちりめんじわへき開がみられる.後者の変成岩についてKーAr全岩年代を求めたところ,191±10Maおよび177±9Maの値が得られた.2.徳山地域では他の三郡変成岩と同じように微小構造の上からも重複変形が確認できた.ただ,S2の走向が他の三郡変成岩分布ではほぼ東西であるのに対して,徳山地域では北北東ー南南西を向くものが多かった.3.久留米地域で最もよく発県した面構造としてみられるのは,2回目の変形に伴うちりめんじわへき開(S2)であり,顕微鏡下ではS2形成時に再結晶した白雲母が頻繁に観察される.地層の分布およびS2の走向・傾斜から本地域にはS2を褶曲軸面へき開とする北フェルゲンツのtightな褶曲が発達しているものと推定される.4.長崎地域では,二つの異なる褶曲軸をもつ等斜褶曲とこれらの曲げるちりめんじへき開褶曲とが観察された. 5.以上全体としてまとめると,三郡変成岩はどの地域においても重複変形を受けていることが確認できる.そのうち1回目から3回目の変形は岩石の内部構造にまで影響を及ぼすものであった.3回目の変形後,三郡変成岩は波長数kmの東西方向の褶曲作用および場所によっては南北方向の褶曲作用を受けている.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yukimasa Oho: "Deformational features of the Misumi Group("Sangun metamorphic rocks")in the Misumi area,Shimane Prefecture,Southwest Japan" Jour.Geol.SoC.Japan. 97. 791-797 (1991)
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[Publications] Yukimasa Oho: "Microstructural difference between the Sangun metamorphic rocks and the Jurassic rocks in the Wakasa area,Tottori Prefecture,Southwest Japan" Jour.Geol.Soc.Japan. 97. 1001-1004 (1991)
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[Publications] 大野 哲二: "広島県湯来地域における吉和層群の微小構造" 広島大学総合科学部紀要IV. 17. 111-120 (1992)