1990 Fiscal Year Annual Research Report

ウラン系列年代測定におけるコンコ-ディア(年代一致曲線)に関する研究

Research Project

Project/Area Number	02640607
Research Institution	Kanazawa University
Principal Investigator	大村明雄金沢大学, 理学部, 助教授 (70019488)
Keywords	ウラン系列年代 / 230Th / 234U年代 / 年代一致曲線 / 南大東島 / 与那国島 / 流球石灰岩 / 酸素同位体ステ-ジ
Research Abstract	本研究では,“dーspectrometric ^<230>Th/ ^<234>U年代値"の信頼性を検証するため,サンゴ化石に関するコンコ-ディア(年代一致曲線)の利用を目指した.その第一歩として,試料中のウラン・トリウム・プロトアクチニウム同位体量や各同位体比に関する高い精度の結果が期待できる分析方法の改良を行った.この点について,一部解決すべき問題は残されたとはいえ,従来より簡便で効率的な方法が確立できた.その方法を用いながら,〔 ^<230>Th/ ^<234>U〕ー〔 ^<234>U/ ^<238>U〕コンコ-ディアを作成し,ウラン系列年代値の中で,最も報告例の多い ^<230>Th/ ^<234>U年代値の信頼性の検証を試みた.これには,南大東島産のPorites群体を用い,まず,一群体中における上記同位体組成の部分的な差異の有無から検討し始めた.その結果,鉱物組成や同位体組成から判断するという従来の基準では,何ら問題のない試料にも拘らず,見掛け上,部分によっては1aの統計誤差の範囲を越す年代値(117±3〜137±4ka)が得られることも明らかになった.その原因を上記のコンコ-ディアを用いて検討したところ,サンゴの死後,ウラン同位体に関する閉鎖系が必らずしも保持されていない場合があるとの結論に達した.現在,これまでに報告されたすべての ^<230>Th/ ^<230>U年代値について,新たな基準を設けて見直し中である. 上記の作業を続ける一方,沖縄県八重山郡与那国島に分布する更新統(流球石灰岩)の形成年代を明らかにしてきた,結果の一部は,既に日本地質学会年会などの機会に発表したが,今までのところ,同島の中位および低位サンゴ礁段丘を構成する流球石灰岩が,それぞれ酸素安定同位体ステ-ジ7と5の高海水準期に形成されたことが明確になった.それらの分布高度と当時の海水準を仮定することによって,与那国島が,少なくとも過去13万年間に,おおよそ20m隆起したことが明らかになった.

Research Products
(11 results)

All Other

All Publications (11 results)

[Publications] 大村明雄・大沢勉: "日本海海底堆積物中のウランおよびトリウム同位体組成:南部の3ピストンコア堆積物間の比較" 金沢大学日本海研究報告. 22号. 1-16 (1990)
[Publications] Grun,R.,Radtke,U.and Omura,A: "ESR and Uーseries analyses on corals from Huon Peninsula,New Guinea." Quatenary Science Review.
[Publications] 大村明雄・小林吉幸・澤祥: "三浦半島津久井累層産単体サンゴの ^<230>Th/ ^<234>U年代" 第四紀研究.
[Publications] Oba,T.,Kato,M.,Kitazato,H.,Koizumi,I.,Omura,A.,Sakai,T.and Takayama,T.: "Paleoenvironmental changes in the Japan Sea during the last 85,000 years" Paleoceanography.
[Publications] Ota,Yoko and Omura,Akio: "Late Quaternary shorelines in Japanese Islands" Quaternary Research(DaiyonkiーKenkyu).
[Publications] Ota,Yoko and Omura,Akio: "Late Quaternary tectonic movements as deduced from raised coral reffs of Minamiーand KitaーDaito Island,Japan." Quaternary International.
[Publications] Ota,Yoko and Omura,Akio: "Tectonic control on the formation of coral reef terraces of the Ryukyu Islands,Japan." Quaternary International.
[Publications] 大村明雄・岩田秀樹・大田陽子・木庭元晴・河名俊男: "南・北大東島産後期更新世サンゴの ^<230>Th/ ^<234>U年代" 地学雑誌.
[Publications] 大田陽子・大村明雄・木庭元晴・河名俊男・宮内宗裕: "南・北大東島のサンゴ礁段丘からみた第四紀後期の地殻変動" 地学雑誌.
[Publications] 河名俊男・平良初男・棚原朗・青木大茂・大田陽子・大村明雄・木庭元晴: "南・北大東島の後期更新世サンゴ化石の非破壊ガンマ線測定による ^<226>Ra/ ^<238>U年代" 地学雑誌.
[Publications] 木庭元晴・田村誠・貝柄徹・池田すみ子・太田陽子・大村明雄・河名俊男: "北大東島産サンゴ化石のESR年代とその検討" 地学雑誌.

1990 Fiscal Year Annual Research Report

ウラン系列年代測定におけるコンコ-ディア(年代一致曲線)に関する研究

Principal Investigator

大村 明雄 金沢大学, 理学部, 助教授 (70019488)

Research Products

[Publications] 大村 明雄・大沢 勉: "日本海海底堆積物中のウランおよびトリウム同位体組成:南部の3ピストンコア堆積物間の比較" 金沢大学日本海研究報告. 22号. 1-16 (1990)

[Publications] Grun,R.,Radtke,U.and Omura,A: "ESR and Uーseries analyses on corals from Huon Peninsula,New Guinea." Quatenary Science Review.

[Publications] 大村 明雄・小林 吉幸・澤 祥: "三浦半島津久井累層産単体サンゴの ^<230>Th/ ^<234>U年代" 第四紀研究.

[Publications] Oba,T.,Kato,M.,Kitazato,H.,Koizumi,I.,Omura,A.,Sakai,T.and Takayama,T.: "Paleoenvironmental changes in the Japan Sea during the last 85,000 years" Paleoceanography.

[Publications] Ota,Yoko and Omura,Akio: "Late Quaternary shorelines in Japanese Islands" Quaternary Research(DaiyonkiーKenkyu).

[Publications] Ota,Yoko and Omura,Akio: "Late Quaternary tectonic movements as deduced from raised coral reffs of Minamiーand KitaーDaito Island,Japan." Quaternary International.

[Publications] Ota,Yoko and Omura,Akio: "Tectonic control on the formation of coral reef terraces of the Ryukyu Islands,Japan." Quaternary International.

[Publications] 大村 明雄・岩田 秀樹・大田 陽子・木庭 元晴・河名 俊男: "南・北大東島産後期更新世サンゴの ^<230>Th/ ^<234>U年代" 地学雑誌.

[Publications] 大田 陽子・大村 明雄・木庭 元晴・河名 俊男・宮内 宗裕: "南・北大東島のサンゴ礁段丘からみた第四紀後期の地殻変動" 地学雑誌.

[Publications] 河名 俊男・平良 初男・棚原 朗・青木 大茂・大田 陽子・大村 明雄・木庭 元晴: "南・北大東島の後期更新世サンゴ化石の非破壊ガンマ線測定による ^<226>Ra/ ^<238>U年代" 地学雑誌.

[Publications] 木庭 元晴・田村 誠・貝柄 徹・池田 すみ子・太田 陽子・大村 明雄・河名 俊男: "北大東島産サンゴ化石のESR年代とその検討" 地学雑誌.

大村明雄金沢大学, 理学部, 助教授 (70019488)

[Publications] 大村明雄・大沢勉: "日本海海底堆積物中のウランおよびトリウム同位体組成:南部の3ピストンコア堆積物間の比較" 金沢大学日本海研究報告. 22号. 1-16 (1990)

[Publications] 大村明雄・小林吉幸・澤祥: "三浦半島津久井累層産単体サンゴの ^<230>Th/ ^<234>U年代" 第四紀研究.

[Publications] 大村明雄・岩田秀樹・大田陽子・木庭元晴・河名俊男: "南・北大東島産後期更新世サンゴの ^<230>Th/ ^<234>U年代" 地学雑誌.

[Publications] 大田陽子・大村明雄・木庭元晴・河名俊男・宮内宗裕: "南・北大東島のサンゴ礁段丘からみた第四紀後期の地殻変動" 地学雑誌.

[Publications] 河名俊男・平良初男・棚原朗・青木大茂・大田陽子・大村明雄・木庭元晴: "南・北大東島の後期更新世サンゴ化石の非破壊ガンマ線測定による ^<226>Ra/ ^<238>U年代" 地学雑誌.

[Publications] 木庭元晴・田村誠・貝柄徹・池田すみ子・太田陽子・大村明雄・河名俊男: "北大東島産サンゴ化石のESR年代とその検討" 地学雑誌.