1991 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄・八重山群島の石西礁における現生貝形虫の生態学的・分類学的研究
Project/Area Number |
02640612
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
田吹 亮一 琉球大学, 教育学部, 助教授 (60155231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 朝秀 琉球大学, 教育学部, 教授 (40044911)
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Keywords | 貝形虫 / 生態学的研究 / 分類学的研究 / 堡礁型サンゴ礁 / 底質 / 種組成 / 未記載種 / 新種 |
Research Abstract |
本研究では、昨年度、琉球列島では数少い堡礁型サンゴ礁である石西礁海域において、3CUBAを用い、海洋調査、貝形虫用試料採取を実施した。そして、各試料ごとに貝形虫生体群集の種組成を明らかにするとともに、環境要因、特に底質の種類が貝形虫種の分布を規制している事を認めた。本年度の目的は、貝形虫個体の追加の拾い出しを行い、その結果として、サンゴ礁域貝形虫の生態分布の詳細を明らかにした上で、多数の未記載種について分類学的記載を進める事にあった。貝形虫個体の追加の拾い出しについては、10の採取地点より得られた30サンプルの各々について、詳しい貝形虫の生態分布の議論をする上で必要な200個体以上の拾い出しを目標とした。その結果、特に、底質の種類と貝形虫種の分布の関連については、昨年度、特定の底質ー砂底と藻類(大型藻類と微小藻類に分けられる)ーが貝形虫種の分布を規制する事実が判明していたが、さらに各々の底質の種類のより細かい違い、例えば、大型藻類ではその種類ー恐らくは植物体全体あるいは葉状体自体の形状の如何ーにより、植物体上に付着、分布する貝形虫群集の種組成が弱貫異る。その他、同様に、砂底については堆積物の粒度組成、微小藻類についてはそれらが付着しているレキや岩盤の形状の差異により、貝形虫種組成が変化する事が認められた。分類学的記載については、未記載種が70以上もあり、未だ研究は継続中であるが、現時点で判明した結果として、石西礁海域より多産するXestoleberis属の2種、X.cfr hanaii、X.cfr sagamiensisが挙げられる。この属の一般的特徴として、殻のみでは種レベルでの検討が困難な事もあり、本研究では、殻に加え、軟体部一時に分類上重要な付属肢、雄性生殖器ーについて詳細に比較、検討した結果、石西礁海域の2種は日本本土近海より報告されてきた類似種、X.hanaii、X.sagamiensisとは異る新種である事が明らかになった。
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[Publications] TABUKI,R.,HAMAMOTO,S.,MITSUNAGA,S.and NOHARA,T.: "The ecological distributions of some ostracod spectes from coral reef in the Sekiseiーsho area,Ryukyu Islands,Japan" Abstracts of 11th International Symposium on Ostracoda. 85 (1991)
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[Publications] 田吹 亮一: "八重山群島・石西礁海域の貝形虫の生態分布ー特に底質との関連においてー" 日本を生物学会1992年年会予稿集. 43 (1992)
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[Publications] 田吹 亮一: "八重山群島・石西礁海域の貝形虫の生態分布" 琉球大学教育学部紀要. 40. (1992)