1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640616
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Research Institution | National Science Museum |
Principal Investigator |
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 研究員 (20124183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 康生 高知大学, 理学部, 助手
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Keywords | 腹足類 / 捕食 / 生痕化石 / 生きた化石 / モクレンタマガイ / アンモナイト / モササウルス / 適応 |
Research Abstract |
1.“生きている化石"モクレンタマガイの解剖学的研究を行った結果、この巻貝は原始的な神経系をもち、多くの点で淡水性のリンゴガイ科の巻貝に近縁であることが明らかとなった。また、モクレンタマガイは肉食性ではなく、植物食であったことが明らかとなった。この発見により、タマガイ類は白亜紀中頃に出現し、従来三畳紀から知られているモクレンタマガイ類とは類縁が薄く、しかもそれらは他の貝類に穿孔して捕食しなかったと考えられる。その結果、タマガイ類とその捕食痕の化石記録は調和的となり、従来のタマガイ類の捕食の起源についての2説のうち、白亜紀中期起源説が正しいことがわかった。 2.タマガイ類の捕食痕を調査した結果、それらの中には他の原因で似たような穴ができることがわかった。1つはカサガイ類による棲い痕で、白亜紀のアンモナイトの殻表面に多く見つかった。これらは小型のカサガイ類が殻表面の1ケ所に定住する為、その部分が殻形と同じ形に凹むためにできたと思われる。穴はタマガイ類の不完全な捕食痕のようにパラボラ形で中央がやや凸となるが、形は大きくやや不規則な点などで区別できる。従来、モササウルスの噛み痕といわれているプラセンチセラス属アンモナイトの穴も同じ起源と考えられる。その他、無生物的にタマガイ類の捕食痕に似た穴ができることもわかった。 3.巻貝各種のタマガイ類の捕食痕を調査した結果、殻形により捕食の様式が異なる1例を見出した。これは巻貝の殻形態が長く伸長することが捕食から身を守る適応形態となっていることである。つまり、殻の伸長度と捕食痕の数の頻度を調べた結果、殻形が長くなると捕食痕数も増加することがわかった。従来捕食痕をもつ個体の頻度で捕食圧を推定した研究例は再評価する必要がでてきた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kase: "Late Cretaceous gastropods from the Izumi Group of southwest Japan" Journal of Paleontology. 64. 563-578 (1990)
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[Publications] 加瀬 友喜: "生きている化石モクレンタマガイGlobularia fluctuata(Sowerby)の生態学的調査(フィリピン・パラワン島)・第2次" 地学雑誌. 99. 398-401 (1990)
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[Publications] T.Kase: "Limpet home scare in some Cretaceous ammonites" Journal of Paleontology.
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[Publications] T.Kase: "Reinterpretation of the "mosasanr bite-marks"in Cretaceous ammonites" Journal of Paleontology.
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[Publications] Y.Kondo: "Preserved life orientations of soft-bottom infaunal bivalues:documentation of some Quaternary forms from Chiba,Japan" Nat.Hist.Res.,Nat.Hist.Mus.Inst.,Chiba. 1. 31-42 (1990)
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[Publications] 近藤 康生: "千葉県松戸市栗山の地下から産した後期更新世の外洋性浅海砂底貝化石群ー特に最終問氷期における古東京湾の海況復元に関連して." 千葉中央博自然史研究報告. 1. 1-8 (1991)