1990 Fiscal Year Annual Research Report
北海道小樽付近の熱水性鉱化作用,とくに酸性変質作用の研究
Project/Area Number |
02640618
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
由井 俊三 北海道大学, 理学部, 教授 (10006637)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 篁 北海道大学, 理学部, 教務職員 (80088848)
松枝 大治 北海道大学, 理学部, 助教授 (20108921)
|
Keywords | 小樽赤岩 / 酸性変質 / 明礬石 / ダイアスポア / ズニ石 / 層状明礬石ー石英岩 |
Research Abstract |
小樽市赤岩海岸の酸性変質岩についてはこれまでも予備的調査を行って来たが、本年度は本補助金で購入した粉砕機を用いてX線回折実験を続け鉱物の帯状分布を精密化した。それによると、この地域の広域的母岩であるプロピライトは緑泥石ーモンモリロン石帯、絹雲母(ーモンモリロン石)帯、カオリン帯を経て数メ-タ-以内で珪化帯に移化している。前2者の粘土鉱物の格子面間隔は珪化帯からの距離に応じて規則的に変化している。珪化帯にはパイロフィライト、ダイアスポア、ズニ石等も発見された。 赤岩海岸には、高低差約300mの急崖が連なり、その傾斜はときに45°を越えている。本年度はその一部を調査し、これまでどこからも報告されていない、堆積構造を持つ層状明礬石ー石英岩を発見した。周囲には粗粒の角礫岩相があり、珪化岩の間に点在した径数十m以下の小規模の湯沼群の中の堆積物と推定される。 層状明礬石ー石英岩の存在以外のこの上下300mの間の主な相違点は、 1)上部の方が珪化岩の発達が著しい(粘土化帯が浸食されてしまった可能性もある). 2)カリウムを含む鉱物として、下部では珪化帯の周りに絹雲母が存在するのに対して,上部では珪化帯中に明礬石がある. である。これは下部の還元的な酸性鉱液に溶脱されたKとAlが、上昇するにつれて生成する硫酸イオンと結合して明礬石を析出すると解釈される。 明礬石と黄鉄鉱が酸化して生成したと認められる鉄明礬石との間のイオウ同位体比を測定した結果、熱水液中でのイオウの酸化は温度200ー250℃程度で起こったと推定された。これは海岸のダイアスポア中の流体包有物の均質化温度と対応する値である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Yui,Shunzo: "Diasporeーbearing acidーsulfate alteration at Akaiwa in Otaru,western Hokkaido,Japan." The 15th General Meeting of the International Mineralogical Association.Abstract. 1. 126-127 (1990)