1990 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島産上部マントル捕獲岩カタログ作成のための基礎的研究
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02640626
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
荒井 章司 金沢大学, 理学部, 教授 (20107684)
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Keywords | 上部マントルかんらん岩 / 日本列島 / 捕獲岩 |
Research Abstract |
今年度は、比較的デ-タがそろった男鹿半島(目潟)、北九州、野山岳、女鹿山、荒戸山についてのまとめと、デ-タの空白地域だった岡山県津山盆地の調査を中心に研究をすすめてきた。津山盆地の男山アルカリ玄武岩中の捕獲岩ではマントルかんらん岩が圧倒的に多いのが特徴である。そのマントルかんらん岩はすべてレ-ルゾライトで、クロムスピネルのCr#は0.2以下である。そのほか、少量のダナイト、グル-プIIのパイロクシナイト類(しばしば緑色スピネルに富む)、メガクリスト類(単斜輝石、フロゴパイト)を含む。臼井(1983)の報告した含ざくろ石ウェブスタライトは発見できなかった。以上のデ-タを総合して以下の結論を得た。(1)日本列島の下部地殻〜上部マントルは水平方向に極めて不均質である。これは、ダナイト〜パイロクシナイト(グル-プI)からなるキュムラス・マントルの厚さ、その下のマントルかんらん岩の岩石学的性質(輝石の量比、スピネルの組成など)、および新しいFe,Alに富むマントル〜地殻物質(グル-プII)のネットワ-ク状の付加の程度の水平方向の不均質性による。(2)アルカリ玄武岩マグマなどによる深部岩石の選択的捕獲が認められる。前述の極めて若い(多くは15Ma以後)岩石(一部は未固結)がネットワ-ク状に存在する場合、アルカリ玄武岩マグマはそこを選択的に通過してしまいその部分にもともと存在していたグル-プIの岩石を捕獲しない。かわりにグル-プIIの岩石やメガクリストが捕獲されることになる。(3)日本列島の深部の基本的構造は、深部よりマントルかんらん岩、ダナイト〜ウェブステライト、かんらん石ガブロ(またはそれの変成したスピネル・ウェブステライト)、輝石ガブロ(マフィック・グラニュライト)である。一部は後に加水され、ホルンブレンド・ウェブステライト、ホルンブレンド・ガブロ(または角閃岩)などが生じている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 荒井 章司: "上部マントルかんらん岩の成因" 科学. 60. 103-112 (1990)
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[Publications] 荒井 章司: "日本列島の上部マントル・下部地殻物質ー島孤の深部を構成する物質ー" 月刊地球. 12. 587-590 (1990)
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[Publications] Shoji Arai: "Upper mantle heterogeneity and genesis of Ferith Crーdiopside peridotites in the Southwest Japan arc" European Journal of Mineralogy.
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[Publications] Shoji Arai: "The CircumーIzu Massif peridotites,central Japan,as backーarc mantle fragments of the IzuーBanm arc system" Proceedings of The Oman Ophiolite Conference.Kluwer Acad Pub.(1991)
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[Publications] Shoji Arai: "Chemical compositions of chromian spinel and olivine in some alkaline basalts from Japan" Science Reports of Kanazawa Clniversity. 35. (1990)