1990 Fiscal Year Annual Research Report
一員鎖構造を持つ銅ゲルマン酸塩の合成と相関係の研究
Project/Area Number |
02640632
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
芦田 利文 徳島大学, 工学部, 助手 (60167905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中林 一朗 徳島大学, 工学部, 教授 (70035624)
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Keywords | 銅ゲルマン酸塩 / 一員鎖 / 格子定数 / 固溶体 |
Research Abstract |
(1)水熱合成:CuGeO_3組成に混合したCuO、GeO_2を180℃、その温度での飽和水蒸気圧(10気圧)で水熱処理し、反応物を得た。この物質の粉末X線回析結果は、焼成法によるCuGeO_3のパタ-ンと良く似ており、構造的にはCuGeO_3の類似物と考えられた。しかし、新たな反射が低角に出ていること、結晶の色が焼成法によるCuGeO_3と異なることなどから、CuGeO_3とは別物質と判断された。この物質のIR測定の結果から、構造内に水を含有していると予想されたが、X線回析パタ-ンの指数付け、結晶形の決定までには致らなかった。(2)固溶体の合形:Breuer等の報告では、CuGeO_3へのSiの固溶は水熱条件下、1kbという高圧下でのみ可能とされている。しかし、Si源としてコロイダルシリカを用いることにより、通常の焼成法でも合成できることが判明した。この様に、常圧下で合成できるということは、今後フラックス法などにより常圧下で、単結晶を育成し、単結晶構造解析にまで進める可能性が示された。固溶体の格子定数を正確に決定するため、粉末X線回析デ-タ-をWPPD法により解析した(Programed by Toraya.1988).この結果、Cu(Ge_<1-x>.Si_x)O_3の格子定数は、a軸=8.475+0.145(7)×x、b軸=2.943-0.065(4)×x、c軸=4.801-0.082(2)×x(単位A)、単位胞体積=119.74-2.7(1)×x(単位A^3)と表せることが分かった。また固溶限界は、格子定数変化の特異性よりx=0.4付近にあると判断された。イオン半径の小さなSiを固溶させているにもかかわらずa軸がSiの増加とともに伸びた原因は、8面体位置にあるCuのヤンテラ-効果が、固溶体の構造を安定化するため、大きくなったからと考えられる。(4)熱膨張係数:熱膨張係数の測定は、大阪大学の既設の装置を用いて行う予定にしていたが、担当教官の移動に伴い装置に付属の温度調整部が移管されたため、測定できなかった。
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