1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640633
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
石塚 英男 高知大学, 理学部, 助教授 (00142349)
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Keywords | 低温高圧型変成帯 / 神居古潭帯 / 三波川帯 / 変成塩基性岩 / 全岩化学分析 / 形成場 |
Research Abstract |
本研究の当該年度内の研究実績として以下のことを得た。 1.北海道神居古潭帯と四国三波川帯に分布する変成塩基性岩の野外調査を行ない、同時に試料採取を行なった。その結果、原岩構造(例えば、枕状構造など)を保存している変成塩基性岩は両帯に存在するが、その分布量は神居古潭帯の方がはるかに多いことが明らかになった。このことは、片理構造の発達が神居古潭帯の方が悪いことと調和的である。一方、産状としては、神居古潭帯では泥質岩中のブロックとして、三波川帯では泥質岩と互層をなして産出する傾向が認められた。 2.採取試料の岩石薄片の製作を行ない、鏡下観察を行なった。その結果、原岩構造を残している試料は両帯を通じて低変成度域に多いことが明らかになった。しかし、原岩組織を残している試料は極めて少ない。 3.鏡下観察で適当と判断された試料について、主要10元素と微量9元素の全岩化学組成を分析した。分析は、両帯からそれぞれ約100試料について行なった。その結果、全ての試料が玄武岩組成(SiO_2=45〜55wt.%)を有し、更に、微量元素組成の検討では、三波川帯では大きく2つのグル-プに、神居古潭帯では3つのグル-プに区分され、それぞれのグル-プと産状との間に規則性があることが明らかになった。 これらのことから、神居古潭帯の原岩はメランジェ的性格を有し、三波川帯の原岩は一連整合的な性格を有することがうかがえる。また、各グル-プと産状の間に認められる規則性は、恐らく、各々の変成塩基性岩の起源に関連しているものと思われる。しかし、変成塩基性岩の起源および生成場については、最終的には希土類元素の分析結果を考慮しないと決定できない。希土類元素の分析は、次年度の本研究の重要研究項目となっており、すでに、希土類元素の分析用試料の選定は終了している。尚、次年度は分析試料をもう少し追加する予定である。
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