1991 Fiscal Year Annual Research Report
変成岩における反応拡散過程の数値的並びに実験的シミュレ-ション
Project/Area Number |
02640634
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西山 忠男 九州大学, 理学部, 助教授 (10156127)
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Keywords | 鉱物の溶解度 / 反応拡散方程式 / 蛇紋岩メランジュ / 物質移動 / 曹長岩 / 変成岩の縞状構造 / アップヒル拡散 |
Research Abstract |
長崎変成岩類中の蛇紋岩中に発達する数種の複合脈について記載岩石学的研究を行った。鉱物の溶解度のデ-タを組み込んだ反応拡散方程式の数値シミュレ-ションによって、反応に関与した流本の化学組成の推定をおこなった。また蛇紋岩体と結晶片岩類との境界部に発達する蛇紋岩メランジュの詳細な検討を行い、メランジュ中の物質移動を明らかにした。特に泥質片岩を交代する曹長岩の形成過程を考察し、全岩化学組成と比重のデ-タからGresens(1967)の方法によって体積変化を見積もり、それに基ずいて物質移動量を推算した。その結果、蛇紋岩側から泥質片岩中にSiO2に乏しい流体が浸透し、泥質片岩に含まれる石英を溶脱したことが分かった。同時にCaO,MgO,FeO成分も溶脱されたが、その他の成分はほとんど移動していない。泥質片岩中の石英が消滅し、曹長岩においては方解石が形成されていることから、この流体は酸素分圧の高い流体であった事が分かる。このように蛇紋岩体内部並びに結晶片岩類との接触部においては、大規模な流体移動とそれに伴う反応と物質移動が生じていることが明らかにされ、その流体の化学組織や物質移動量の推定に成功した。 上述の反応拡散方程式の数値シミュレ-ションに加えて、大野のCell Dynamical Systemの方法によって変成岩における縞状構造の発達過程のシミュレ-ションを行った。鉱物と粒間流体の間に局所平衡が成立する場合には、鉱物の化学量論係数の比が相互拡散係数をの効果を増大させ、アップヒル拡散を生じうることを理論的に示し、それによる構造形成のシミュレ-ションに成功した。 熱水合成実験によって、曹長石の溶解度の定量的検討を行った。
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[Publications] 西山 忠男: "アップヒル拡散によるパタ-ン形成" 月刊地球. 5. 311-319 (1990)
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[Publications] T.Nishiyama: "CO_2ーmetasomatinsm of a metabasite block in a serpentine melsnge from the Nishisonogi metamorplnic rochs,southwest Japan" Contib Mineral Petrol.104. 35-46 (1990)
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[Publications] Onuki A and Kawasaki K(ed.),T.Nishiyama: "Uphill aiftusion and chemical layeriy in a mirurelーfluid system" Dynamics and Patlerns in Comple Fluids Spriyer. 219-220 (1990)
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[Publications] Marumo F(ed.),J.T.Iiyam: "Material transter duriy metamorphic proceses:expernental appuaches" Dynamic Processes of Mateial Transport and Troma Tamation in the Earthis Interior,TERRAPUB. 119-137 (1990)