1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640645
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
松原 聰 国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究員 (40000137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 昭 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (70000114)
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Keywords | ばら輝石 / パイロクスマンガン石 / バスタム石 / マ-スタ-石 / 南部石 / マンガン準輝石 |
Research Abstract |
本年度は、福島県、新潟県、栃木県、岐阜県、三重県、京都府において、8ケ所のマンガン鉱山を調査し、マンガンを生成分とする準輝石の収集ならびに産状の把握をおこなった。4ケ所の鉱山から得られた資料の一部について、研磨薄片を作製し、エネルギ-分散型マイクロアナライザ-による化学分析をおこなった。対象とした鉱物は、ばら輝石、パイロクスマンガン石、バスタム石、マ-スタ-石、南部石、含マンガン輝石および含マンガン角閃石類である。現在までのところ、およそ120美の分析を終え、さらに続行中である。そのうちのパイロクスマンガン石について一例をあげると、栃木県日瓢鉱山産のものは極めて鉄に富み、福島県一の木鉱山産のものは鉄はほとんど無く、わずかなマグネシウムを含むということがわかった。いずれもカルシウムは極めて乏しく、この鉱物の化学組成変化を調べる上で極端な例の代表となる興味深いものである。また、一の木鉱山では、銅、コバルト、ニッケルを生成分とする硫化物がマンガン準輝石中に見いだされ、マンガン準輝石生成の際の元素移動を考える上で重要と思われ、さらに分析例をふやして検討材料とする予定である。 コバルトX線菅球を購入し、マンガン鉱物のX線粉末回折実験をおこなっている。これにより銅の菅球を使う通常の測定より、バックグランドが低くたもたれ回折線の分離がよくなった。格子定数の測定精密化や多種類の鉱物が混存する資料に対しての同定が容易になるなど、マンガン鉱物のX線粉末回折に有効である。
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