1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650005
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡野 光治 東京大学, 工学部, 教授 (60010716)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 潤 東京大学, 工学部, 助手 (10200809)
|
Keywords | リオトロピックスメクティック相 / 粘性率異常 / 脂質2分子膜 / 層圧縮弾性率 / 脂質膜相転移 / steric相互作用 |
Research Abstract |
両親媒性分子(脂質・界面活性剤)は水溶液中で2分子膜を作り、この2分子膜が層状に積み重なったラメラ相を形成する。申請者らは温度・相対湿度・含水率をパラメ-タとして測定可能な低周波(10Hz〜1kHz)粘弾性測定装置を完成し、脂質ー水系のラメラ相及び界面活性剤ー水ーアルコ-ル系のラメラ相の粘弾性を上記パラメ-タを変えて系統的に測定し次のような知見を得た。 (1)上記のラメラ相の縦粘性率は温度・相対湿度・含水量によらず常に低周波で1/ωに比例して発散する項を含むことを確認した。このような粘性率異常は層の位置の大規模な揺らぎに起因するものとして理論(MRT理論)により予測されていたが、ラメラ相(リオトロピックスメクティック相)でこの現象を確認したのは本研究がはじめてである。 (2)層圧縮弾性率Bを温度・相対湿度・含水量を変えて系統的に測定を行い、膜内および膜間に働く相互作用についての知見を得た。 a.脂質2分子膜低含水多層系では膜間の水は膜の親水基に強く水和しているため極めて固く変形は主として膜内で起こることを明らかにした。このような低含水系でのBの温度・相対湿度依存性は現象論的なラメラ相の自由エネルギ-の表式を用いて整理できる。また脂質膜相転移(Lα相ーLβ相)点近傍でのBの変化を系統的に測定し、転移の相図を決定した。得られた相図(相転移温度の相対湿度依存性)もBの場合と同様の議論で説明されることがわかった。 b.アルコ-ルを添加した系では多量の水を含む膨潤したラメラ相が実現される。このラメラ相でのBの測定から膜間相互作用について、Helfrichが理論的に予測した新しいタイプの膜間相互作用(steric interaction)の存在を実験的に検証した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Koji Okano: "Mechanical tranfer function of Thin Smectic A Slab having Homeotropic Structure" Japanese Journal of Applied Physics. 29. 1149-1150 (1990)
-
[Publications] Jun Yamamoto: "Anomalous Hydrodynamic Behavior of Smectic Liquid Crystals at Low Frequencies" Japanese Journal of Applied Physics. 30. (1991)
-
[Publications] 岡野 光治: "スメクティック液晶における揺らぎと力学物性" 応用物理. 60. (1991)
-
[Publications] Jun Yamamoto: "Mechanical Properties of Lyotropic Smectic Liquid Crystals at Low Frequencies"
-
[Publications] Hiroaki Wakayama: "Mechanical Properties of Dilute Lamellar Phases at Low FRequencies"