1992 Fiscal Year Annual Research Report
両眼視差を用いた3次元ディスプレイ装置による視覚疲労の評価
Project/Area Number |
02650035
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
河原 哲夫 金沢工業大学, 工学部, 教授 (40112776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 洋一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (50113155)
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Keywords | 両眼視差 / 3次元ディスプレイ / 視覚疲労 / 眼球運動 / 調節応答 / 視覚誘発脳波 / ランダムドット視差図形 / 融像 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に引続いて各種の両眼視差図形提示に対する融像時間、さらに立体視作業による調節応答を心理物理的方法および眼球運動や視覚誘発脳波を用いて評価した結果、以下の諸点が明かとなった。 1.立体視標の提示方式による差異を検討した結果、アナグリフ方式では主に毛様体筋の働きである調節速度が低下し、内眼筋疲労が強く生じていると考えられる。また、時分割方式では、調節速度の低下とともに調節反応潜時が顕著に延長した。それゆえ、画像のちらつきによって、内眼筋疲労と共にそれ以外の要因(神経系の疲労)が誘発されると考えられる。 2.ランダムドット視差図形では、両眼画像の相関探索に要する時間と視差量検出に要する時間が融像時間延長の要因であり、それらはパターンの変化量が大きいほど時間延長する。このことから、融像時間の延長は眼疲労に深く関連すると予想される。 3.両眼立体視刺激において、視差領域(飛出し部分)の図形サイズが大きくなるにつれてVEP振幅が増大するが、基準枠図形の大きさ程度になる条件下では、VEP振幅が逆に減少した。 4.立体視VEPの振幅が低下する主要因として、眼球運動が実験的に推測された。すなわち、上記3の刺激条件では、幅湊性眼球運動だけでなく共同性眼球運動も誘発され、なんらかの抑制作用(saccadic suppression)が立体視VEPに影響したと考えられ、眼疲労の主要因になると予想される。 5.赤青眼鏡によるアナグリフ方式において、平面視作業ではほとんど眼疲労が認められない条件下での立体視作業後、調節速度が著しく遅くなることが確認され、被験者の自覚的疲労感とも一致した。
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