1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650057
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
片桐 一宗 岩手大学, 工学部, 助教授 (90029893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 昌宏 大阪大学, 工学部, 助手 (10132630)
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Keywords | チタン合金 / 疲労破壊 / 極低温 / き裂伝ぱ速度 / き裂開閉口 / き裂経路 / 破面観察 / 微視組織 |
Research Abstract |
α(h.c.p.)およびβ(b.c.c.)2相からなるTiー6Alー4V合金焼なまし板材からCT試験片を作成し77Kおよび室温にて疲労き裂進展試験を行うと共に,これと関連するいくつかの測定,観察を合わせ行い以下の結果が得られた. 1.Ti合金ではこれまで極低温と室温とで伝ぱ速度に余り差異が無いとする断片的な報告がなされていたが,本材料においては極低温での伝播速度が室温のものと比べて1/2〜1/4とかなり小さいこと,とくに低速伝ぱ域においてそれが著しいことが明らかにされた.従来の結果との違いは組成,熱処理などによる微視組織の違いに基づくものと考えられる.試作した極低温用クリップゲ-ジを用いたコンプライアンス測定からき裂開閉口が同時に測定され,低温では高,低両伝ぱ速度域を通じてき裂開閉口レベルが室温の場合より高いことが判明した. 2.光学顕微鏡によるき裂経路の観察によると,極低温でとくに低伝ぱ速度域において著しいき裂の分岐が認められた.超高電圧透過電子顕微鏡によるき裂先端周辺の転位組織観察についてはき裂進展試験と並行して試料を作成しつつあるが,研究代表者の転任(平成2年10月)に伴う時間的な遅れから,本報告書をまとめる時点では結果が得られなかった.来年度のき裂発生に関する諸観察に先立ち,最優先課題としたい. 3.SEMを用いた疲労き裂進展後の破断面形態の観察によれば温度条件による顕著な差異は認められなかった.室温,極低温いずれの場合にも低速伝ぱ域はα結晶粒に相当する平坦なファセットを特徴とする結晶学的な凹凸からなる破面を呈した.高速域では明瞭なストライエ-ションがいずれの場合にも観察された.極低温の場合のみに最終破断に近い領域で,局所的なストレッチドゾ-ンのような細長い伸長デインプルが観察された.未完成の組織観察結果と上記のそれらを総合して,本材料の極低温疲労き裂進展についてその機構をまとめたい.
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[Publications] K.Katagiri: "Fatigue Crack Growth in Metastable Austenitic Stainless Steel at Cryogenic Temperatures" Advance in Cryogenic Engineering,Materials Eds.R.P.Reed and F.R.Fickett,Plenum Press NY. 36. 1225-1232 (1990)
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[Publications] 片桐 一宗: "チタン合金の極低温疲労き裂伝ぱ" 第46回低温工学・超伝導学会予稿集 低温工学. 26. (1991)
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[Publications] 片桐 一宗: "チタン合金の極低温疲労破面" 材料. 41. (1992)
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[Publications] K.Katagiri: "Dislocation Structures of Strain Localized Region and Fatigue Crack Initiation in Metals and Alloys" Proc.3rd Int.Conf.Residual Stresses Elsevier Applied Science,Essex. (1992)