1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 英樹 東北大学, 工学部, 教授 (20005359)
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Keywords | 繊維強化複合材料 / マイクロメカニックス / 破壊靭性 / アコ-スティック・エミッション / 微視破壊 / 応力腐食割れ / き裂進展速度 / 酸環境 |
Research Abstract |
繊維強化複合材料を対象としたマイクロメカニックス研究によって、次の二つのテ-マの解明を試みた。 1.宇宙環境温度下での炭素繊維強化複合材料(CFRP)の損傷と強度低下 耐熱エポキシ樹脂を母材とするCFRP直交積層板を用いて、宇宙環境温度下(423K,298K,77K)でAE法を併用した破壊靭性試験を行い、CFRPの破壊靭性値に及ぼす温度の影響を明らかにした。また軟X線観察およびSEM観察を行って切次先端における微視破壊の様相を明からにした。得られた主な知見は以下の通りである。(1)荷重一変位曲線は、低温では比較的線形であるが温度が高くなるにつれて非線形性を帯びてくる。またAE活性度は温度が低くなるにつれて高くなった。最大荷重については室温で最も高く、低温およびにおいてはより低くなった。(2)AEエネルギ-の急増開始荷重から算出した破壊靭性値と5%オフセット荷重より求めた破壊靭性値は共に室温で最も大きく、低温および高温においてはより小さくなった。また両破壊靭性値は低温の場合にはよく一致するが、高温になると一致しないことがわかった。(3)軟X線による観察から、直交積層板の切欠先端に形成される損傷域は、切欠に平行な方向および垂直方向に伸びていることが明らかとなった。また、温度が低くなると損傷域は大きくなることがわかった。 2.酸環境下でのガラス繊維強化複合材料(GFRP)中のき裂進展速度 ガラス繊維を強化材とレエポキシ樹脂を母材とする直交積層板を用いて塩酸環境下で応力腐食試験を行った。実験結果からき裂進展速度は、近似的にき裂先端での応力拡大係数のべき乗形で表わされることを確認した。さらにこのべき乗則についてマイクロメカニックスの観点から考察を行い、塩酸濃度や環境温度がき裂進展速度に及ぼす影響について定量的な解明を行った。
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[Publications] 堀田 智充,関根 英樹: "炭素繊維強化直交積層板の強度特性に関する研究" 日本機械学会材料力学講演会講演論文集. 900ー86. 123-125 (1990)
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[Publications] 鈴木 寛,関根 英樹: "短繊維分散強化SMC複合材料の引張軟化則予測のための確率論的モデル" 日本機械学会第68期全国大会講演会講演論文集. 900ー59. 320-322 (1990)
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[Publications] 宮永 俊明,関根 英樹: "酸環境下におけるクロスプライガラス/エポキシ積層板の応力腐食き裂進展速度に及ぼす酸濃度および環境温度の効果に関する微視学的研究" 日本複合材料学会第15回複合材料シンポジウム講演要旨集. 73-76 (1990)
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[Publications] 関根 英樹,宮永 俊明: "GFRPの応力腐食によるき裂進展速度に関する潜在微小き裂を考慮した微視力学的研究" 材料. 39. 1545-1548 (1990)
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[Publications] 鈴木 寛,関根 英樹: "短繊維分散強化複合材料中の繊維のはく離および引抜けに関する確率論的研究" 日本機械学会論文集(A編). 57. 224-231 (1991)