1990 Fiscal Year Annual Research Report
極低温中におけるマグネット構造材料のトライボロジ-特性
Project/Area Number |
02650106
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
岩渕 明 岩手大学, 工学部, 助教授 (00005555)
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Keywords | トライボロジ- / 極低温 / 超伝導マグネット / 摩擦発熱 / 機械的じょう乱 / クエンチ / クライオメカニックス |
Research Abstract |
本研究は二年間の継続研究であり,初年度の今年度の目的は液体ヘリウム中での(1)マグネット構造材の摩擦・摩耗特性の評価と,(2)摩擦発熱とそれによる温度上昇の評価とシミュレ-ションである. (1)については超伝導マグネットのコイルケ-ス材料のJN1,JN2に対し,高い摩擦係数を示す相手材料を捜すために,無酸素銅,黄銅,キュプロニッケル,ア-ムスブロンズ,Crコ-ティングされた銅の5種類について検討した.その結果,平均摩擦係数を常温での材料の硬さで整理すると,摩擦係数はほぼ硬さに反比例することがわかった.この結果は,コイルケ-スの接合面に軟らかい銅合金をはさむことで,コイルケ-スに作用する捻れ力を,摩擦力である程度負担させることができ,シェアピンの設計に有利となる. (2)については,SUS316Lに対して5種類の材料を滑らせ,摩擦発熱の時間変化,上昇温度と摩擦発熱の関係を検討した.特に重要な知見は,滑りの不安定性に伴う摩擦発熱の乱れは温度上昇には余り影響しないことと,滑り出しの上昇温度は摩擦発熱に直接比例せず,(摩擦力)×(速度)^<3/4>に影響されることである.また摩擦面下0.4mmと1.4mmに挿入した二個の熱電対での温度上昇を,非定常熱伝導の逆問題として,差分法を用いて数値計算した.実験値に合うように,発熱量の大きさと時間変化や接触面の大きさ,熱電対までの距離を変化させ,よい一致をみた.このことは,摩擦発熱による超伝導導体の温度上昇を設計できることを意味する. また来年度には,極低温真空中での摩擦特性と温度上昇を求める予定であり,真空排気装置を今年度準備した.また実験装置は日本原子力研究所と協同で製作している.
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[Publications] 岩渕 明: "極低温における摩擦発熱" 日本機械学会全国大会講演会講演論文集(第68期). 900ー59A. 69-71 (1990)
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[Publications] A.IWABUCHI: "Frictional Heating of Magnet Structural Materials at Cryogenic Temperatures" Proc.4th us/Japan Workshop on Law Temperature Structural Materials and StandardsーOct.1ー2,1990. (1990)
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[Publications] A.IWABUCHI: "Frictional Heating of Magnet Structural Materials at Cryoqenic Temperatures" Cryoqenics.