1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650109
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 好次 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20010910)
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Keywords | エンジン油 / 劣化油 / 摩耗 / モデル劣化油 |
Research Abstract |
本年度は,ほぼ研究計画どおりに実施でき,以下の主な結果を得た. 1.劣化に伴うエンジン油の一般性状の変化: 2気筒,OHC形式の小型ガソリンエンジンの耐久試験で劣化させたエンジン油を採取して,その一般性状を調べた.粘度,全酸価,残留炭素分,不溶分等が増加し,全塩基価が減少した.また酸化防止剤,摩耗防止剤等の添加剤が消耗されていた. 2.劣化エンジン油による摩耗試験とキャラクタリゼ-ション: 現有の3円筒/リング摩耗試験機を用いて,上記劣化油を潤滑剤として実験を行い,摩耗と全酸価及び全塩基価の関係を求めた.全酸価が新油に比べて約1mgKOH/g以上増加すると摩耗が急激に増大した.一方全塩基価はその初期値に関係なく,塩酸法で約2mgKOH/g以下になると摩耗が増大した.このような油の劣化に伴う摩耗の増大は,添加剤が消耗され,酸化生成物が増加して,摩擦面に有効な保護膜が形成できなくなって生じるということが,摩擦面のXPS分析結果から分かった. 3.モデル劣化油による摩耗試験: 重要な劣化成分として,潤滑油の主成分である炭化水素が酸化反応して生じるヒドロペルオキシドを選び出し,エンジン油に強制混合してモデル劣化油を作り,それを潤滑剤として摩耗試験を行った.ヒドロペルオキシドの混合量が増すと,摩耗が増加した.摩耗痕のEPMA分析で,摩耗防止添加剤成分がほとんど検出されなかったことから,添加剤がヒドロペルオキシドと反応し,摩擦面に保護膜が形成できなくなったものと考えられる. 劣化予の一般性状変化と摩耗防止性能の関係が,モデル劣化油によって確認できたので,次年度は,いわゆる新燃料・新素材エンジンへの対応を検討する.
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Research Products
(1 results)