1991 Fiscal Year Annual Research Report
滴状凝縮の共存による膜状凝縮熱伝達の促進機構と最適化に関する研究
Project/Area Number |
02650144
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 哲 東北大学, 工学部, 助教授 (30134026)
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Keywords | 膜状凝縮熱伝達 / 伝熱促進 / 滴状凝縮 / 液膜流の乱れ促進 / 滴の流下挙動 |
Research Abstract |
滴状凝縮は膜状凝縮に比べ数十倍の熱伝達率を有するが、その安定性や寿命に問題がある。PTFEなどの高分子被膜が有望視されているが、十分な寿命をもたせるためにはかなり厚い被膜が必要で、これは熱抵抗となって全体の凝縮性能を大きく増大させることを困難にしている。本研究は、滴状凝縮部分と膜状凝縮部分を同一伝熱面に交互に配置した共存凝縮伝熱面が、両者が単独である場合の平均よりも高い伝熱性能を示すことに着目し、厚い被膜ながら安定な滴状部分の共存により、積極的に膜状部分の熱伝達を促進し、高性能凝縮伝熱面を得る可能性を検討することを目的としている。 本年度は昨年度の研究を発展させ、滴状部分の大きさが膜状部分の伝熱促進に及ぼす影響について実験的に調べた。高さ0.5mmでは滴本来の離脱滴径より小さく、突入滴の効果はほとんどないが、1mmになると突入滴の擾乱効果により、膜状部分の熱伝達が大きく促進される。しかし2mmよりも高くなると突入液滴の量が多くなりすぎ、液膜厚さが増大するため、擾乱による促進効果が液膜厚さの熱抵抗に相殺されて、伝熱促進が減少してしまう。 また共存による膜状部分の伝熱促進の大きさは、膜状部分自身の大きさにも依存する。突入液滴により膜状部分に誘起される擾乱は堺界近くではかなり強いが、内部に伝わるにつれて減衰する。したがって伝熱促進も境界付近が最も大きく、境界から離れたところではむしろ液膜厚さが増えたことによる熱抵抗の増加のほうが大きなる。この様子を径と温度を制御した人工滴を用い、伝熱面表面に蒸着により温接点を形成した熱電対の示す温度変動と、高速度撮影写真により解析し、確認した。 以上より、滴状凝縮の共存により膜状凝縮熱伝達を促進するには、両部分の幅に最適値が存在し、共に2〜3mmであることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Kumagai,S.Tanaka,H.Katsuda and R.Shimada: "On the Enhancement of Filmwise Condensation Heat Transfer by Means of the Coexistence With Dropwise Condensation Sections" Experimental Heat Transfer. 4. 71-82 (1991)