1990 Fiscal Year Annual Research Report
前進および後退接触角と遷移沸騰伝熱機構に関する研究
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02650146
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庄司 正弘 東京大学, 工学部, 教授 (00011130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横谷 定雄 東京大学, 工学部, 助手 (00010869)
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Keywords | 接触角 / 遷移沸騰 / 接触角のヒステリシス / ウェルフェルミ法 / 傾斜平板法 / 定常遷移沸騰 |
Research Abstract |
研究目的のひとつである接触角のヒステリシスについては,まず球状液滴に対する自由エネルギ-および固液接触抗力を考慮した解析により,接触角ヒステリシス存在の物理的意味を明格にし,前進接触角,後退接触角,平衡接触角(通常のヤングの式を満たす接触角)が余弦の算術平均の関係にあることょを明らかにした.そして,銅と水の系について,液滴の大きさを変えた実験測定(ウェルフェルミ法と傾斜平板法)の結果は理論と良好な一致を示すことを明らかにした.また,固体面の粗さ,酸化程度を系統的に変化させた実験をおこなって,通常,沸騰実験で用いられる加熱面の接触角の値に対し物理的解釈をおこなった. 遷移沸騰においては,この接触角のヒステリシスが2本の沸騰曲線をもたらすとの仮説がある.そこで,電気加熱と空冷を併用した定常遷移沸騰実験を行ってみた.その結果,高過熱度領域において2本の沸騰曲線が観察されたが,これは加熱面のエイジングによるものであり,遷移沸騰曲線が2つあることを意味するものではないことが判明した. 遷移沸騰実験では,その熱伝達機構解明のため,特に探針により加熱面近傍の元液挙動について詳細に調べた.そして,合体気泡下の形成されるマクロ液膜の蒸発モデルにより,それらの結果について考察し,従来よく引用されるゲルトナ-らのマクロ液膜厚さは,遷移沸騰領域での適用しうるものか否か大きな疑問があること,またマクロ液膜内のボイド割合,あるいは加熱面上での液膜存在割合について現状はきわめて情報不足であることを明らかにした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 庄司 正弘,他3名: "接触角測定におけるヒステリシスに関する実験的研究(沸騰熱伝達に関連して)" 第27回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 27巻. 313-315 (1990)
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[Publications] M.Shoji et al.: "Measurement of Liquidーsolid Contact Using MicroーThermocouples in Pool Transition Boiling of Wateron a Horizontal Copper Surface" Proceedings of the 3rd ASMEーJSME Thermal joint Meeting,Reno,Nevada,USA. (1991)
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[Publications] 庄司 正弘,他2名: "水平加熱面上の定常遷移沸騰に関する研究" 第28回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 28巻. (1991)
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[Publications] 庄司 正弘,他1名: "接触角のヒステリシスに関する研究" 第28回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 28巻. (1991)