1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650150
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宇高 義郎 東京工業大学, 工学部, 助手 (50114856)
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Keywords | 伝熱 / 相変化 / 滴状凝縮 / 凝縮曲線 / 遷移 / ヒステリシス / 凝縮液流下 |
Research Abstract |
1.疎液性面上に蒸気が凝縮するとき、冷却強度を増大させてゆくと凝縮状態は理想的な滴状凝縮から遷移域を経て膜状凝縮に移行する。このときの凝縮面過冷度と熱流束の関係を凝縮曲線と呼ぶ。凝縮曲線における滴状から膜状への遷移域の諸量を決定するメカニズム、支配パラメ-タの定量的な議論を行うまでには至っていない。友研究は、比較的凝縮液流下方向に長い特殊な伝熱ブロックを製作し、局所伝熱特性の正確な測定および凝縮様相変化の観測結果をもとに、流下凝縮液の影響を中心とする凝縮曲線の伝熱特性の検討を目的としている。 2.本研究では、熱的に独立した6個の銅製小ブロックを凝縮液流下方向に並べる構造とし、局所伝熱量の正確な測定が可能なように配慮し、さらに、凝縮状態が端部の影響を受けにくいように伝熱面全周に低熱伝導率の"つば"状の薄板を接続した。各直方体小ブロックの間にはくり貫き部をもつステンレス板が熱的な意味の"仕切"としてはさまれている。各小ブロック内の熱電対出力から、定常1次元熱伝導を仮定して、凝縮液流下方向に異なる局所伝熱量を求めた。蒸気にはプロピレングリコ-ルを、疎液性面を実現する滴状凝縮の促進剤としてオクタデカンチオ-ルを表面に吸着させて使用した。 3.約360Kと340Kの2通りの蒸気飽和温度について、それぞれ蒸気流速を3通りずつ変化させて測定した。これらの測定結果から、いずれの場合にも比較的小さい凝縮面過冷度△Tでは、熱流束qは凝縮液流下方向位置xに対する依存性をほとんど示していないが、△Tが増すにしたがって下流側ほどqの増加率が顕著に鈍化してゆく傾向が現れているのに対して、xが小さい上流部分ほどqの直線状変化域が長く、qの差異が拡大し、遷移域を経て、凝縮形態は膜状凝縮となり、△Tの増加とともに凝縮液の流下による影響が顕著に現れてくることを明らかにした。さらに写真による凝縮状態の様相変化の観察から、滴状から膜状への遷移は流下凝縮液の形成される筋状液流によって引き起こされ、それらの合体による成長を経て膜状凝縮へ移行する過程を明らかにした。 4.上記3の観測結果より凝縮曲線の伝熱性を明らかにするための基礎的な資料が得られたので、今後これらの実験結果をもとに凝縮曲線の定量的な性質を支配するパラメ-タに関する検討を進めることで重要と考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 宇高 義郎,斎藤 彬夫,西村 浩,金子隆之: "凝縮曲線における凝縮液流下の影響に関する研究" 日本機械学会論文集(B編). 57. 661-669 (1991)
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[Publications] Y.Utaka,A.Saito,T.Kaneko,H.Nishimura: "The Effect of Condensate Flow in the Dropwise Condensation Curves" Proc.of Third ASMEーJSME Thermal Engineering Conference. (1991)
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[Publications] 宇高 義郎,斎藤 彬夫,吉川 宗雄: "凝縮曲線における凝縮液流下の影響に関する検討" 第28回日本伝熱シンポジウム講演論文集. (1991)