Research Abstract |
内燃機関での予混合気の乱流燃焼過程の本質は,乱流混合と化学反応の相互作用にあり,未燃混合気の乱れが燃焼促進に及ぼす影響は大きい.本研究では,予混合乱流伝ぱ火炎の微細構造を明らかにするため,以下の実験を行った.用いた燃料はプロパンガスであり,混合気の性質を,(1)当量比が1で,その組成はほぼ燃料・空気混合気に近いもの,(2)当量比が同じく1で,不活性ガスの量をふやすことにより層流火炎反応域厚さを厚く,層流燃焼速度を小さくしたもの,(3)当量比が1.7で,層流火炎反応域厚さを非常に厚く,層流燃焼速度を非常に小さくしたものの3種類とし,それぞれの混合気に対し乱れ強さを4段階に変化させ燃焼実験を行った.乱流燃焼実験装置は,多孔板の後方にあるファンにより一方向に予混合気を循環できる円筒形の燃焼室を有し,火花放電により点火を行った.この燃焼室は,火炎伝ぱ方向並びにそれに直角方向から同時に伝ぱ火炎を観測できる構造となっている.無電源回路による火炎面プラズマ電位信号の検出部は,長さ0.6mm,直径0.2mmのニッケル線であり,燃焼室中心軸上の2箇所に設置した検出部により同時に計測を行った. 高強度乱流伝ぱ火炎の火炎面プラズマ電位信号を計測,解析した結果,以下の点が明らかとなった.火炎領域厚さは,ファン回転速度の増加と共に厚くなる.一定のファン回転速度のもとでは,層流燃焼速度が小さく層流火炎反応域厚さが厚い混合気ほど火炎伝ぱ速度は小さく,火炎領域厚さは厚くなる.また,そのような混合気では乱れが強すぎると火炎伝ぱが不可能となる.次に,火炎素面数についてもファン回転速度の増大と共に多くなり,層流火炎反応域厚さが厚い混合気ほど多くなる.火炎素面数の確率密度分布によると,ファン回転速度が増すにつれて火炎面プラズマ電位のピ-ク数は増加し,その傾向は層流火炎反応域厚さの厚いものほど顕著である.
|