1991 Fiscal Year Annual Research Report
低温度レベルの熱源の資啓化をめざす新作動媒体の熱量測定による熱力学的検討
Project/Area Number |
02650166
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Research Institution | Faculty of Science and Technology, Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 春樹 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70137983)
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Keywords | 新作動媒体 / 代替フロン / 熱量測定 / 熱力学性質 / 液体 / 定圧比熱 / HFCー152a / HCFCー142b |
Research Abstract |
本研究では、フロ-カロリメ-タ-により新作動媒体の液体域の定圧比熱の測定を行なった。このフロ-カロリメ-タ-は、昭和59年度科学研究費奨励研究(A)により製作したものを少しずつ改造してきたものである。本年度は、標準沸点が約-25℃のHFCー152a(1,1ーディフルオロエタン)および標準沸点が約-10℃のHCFCー1426(1ークロロー1,1ーディフルオロエタン)の液体域における定圧比熱測定を行なった。最終的な測定範囲は、HFCー152aに関して276Kから360K,1.0MPaから3.2MPaまでの温度・圧力範囲であり,HCFCー142bに関して,276Kから350K,1.0MPaから3.0MPaに31点の定圧比熱値を得ることができた。両物質の純度は99.95mol%であり、測定精度は温度に関して±13mK,圧力に関いて±3kPa,そして、定圧比熱値に関して±0.4%であると判断している。これらの測定値を用いて、定圧比熱を温度および圧力の関数として表わす相関式を作成し、エンタルピ-の誘導あるいは飽和蒸気圧力における値を求めて、飽和液体状態の定圧比熱値を決定した。この飽和液体の定圧比熱値は、現存の装置で多く用いられているCFCー12およびCFCー22の値と比較した。 上記2物質の測定後カロリメ-タ-の測定結果に大きな系統誤差が生じるようになり、府ロ-カロリメ-タ-の測定精度を再確認する目的から、質量流量測定について詳しく検討を行ない最大1.6%の誤差が生じていることを明らかにした。これが原因で交付申請書に示したHCFCー225の測定を行なうことはできなかった。 代えて定圧比熱の推算法に関する検討を行なうこととした。HFCー152aの場合を例にして示すならば、大まかに、Watsonの方法では約30%,SternlingーBrownあるいはLymanーDannerの方法で約10%,RowlinsonーBondiの方法で約5%の本研究結果との相違があることを明らかにすることができた。
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[Publications] S.Nakagawa,H.Sato,and K.Watanabe: "Isobaric Specific Heat Capacity Data for Liguid HCFCー123" Journal of Chemical and Engineering Data. 36. 156-159 (1991)
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[Publications] S.Nakagawa,T.Hori,H.Sato,and K.Watanabe: "Isobaric Specific Heat Capacity Data for Liguid 1ーchloroー1,1ーdifluoroethane(HCFCー142b)and 1.1ーdifluoroethane(HFCー152a)" Journal of Chemical and Engineering Data. (1992)