1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650167
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森 康彦 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (90051888)
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Keywords | 表面張力 / 動的表面張力 / 吸着 / 炭化水素 / 水 / 相変化 / 伝熱 |
Research Abstract |
低級炭化水素蒸気雰囲気中での水の動的表面張力の測定を想定して、oscillating jet法に基づく測定装置の試作を行った。この装置の主要な特徴を以下に要約する。 oscillating jetの観察部は、真空断熱された光学研磨ガラス製二重窓を前後に有する容器で、底部には水を張り、その上部空間には外部ボイラ-より炭化水素蒸気が供給される。これによりjet周囲の雰囲気を炭化水素と水の飽和混合蒸気とする。jetを形成する水は、予め雰囲気と同温度に調整された後、容器側壁上に位置する楕円断面のノズルより流出する。上記の窓を通してHeーNeレ-ザ-の平行光がjetの軸に垂直に照射され、振動しているjetレンズ作用により、背後のスクリ-ン上に輝線の列を作る。輝線間の距離の測定よりjetの波長が知られる。また振幅の測定も、これとは別の光学系を用いて行われる。 試作した装置の健全性を確認するため、空気雰囲気中での水の表面張力測定を行ったところ、その漸近値が同温度での静的表面張力に関するIAPSの推奨値を3〜6%程度下回ることが判明した。これはjetに僅かな高周波振動が重量したことによると推定され、動的表面張力の絶対測定のためには、今後細部に渡る装置の改良が必要と思われる。 nーペンタン/水飽和混合蒸気の雰囲気を用いた予備的測定によれば、nーペンタン分子の吸着によると判断される表面張力の顕著な低下が表面形成後数msの経過時間において既に認められ、その低下傾向より、同雰囲気中での水の表面張力に関する緩和時間は数十msのオ-ダ-にあると推定される。数十msという緩和時間は、多くの相変化伝熱操作における気ー液接触時間にくらべて、十分に長くも短くもなく、したがって、それらの操作に係わる表面張力の評価は単純には行い得ないことを示唆している。今後測定精度の向上とデ-タの蓄積により、上記の問題点をより明確にしていく必要がある。
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