高温超電導電力用限流装置に関する基礎的研究

1990 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02650200
• Research Institution: Nagoya Institute of Technology
• Principal Investigator: 中村 光一 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10024283)
• Keywords: 高温超電導 / イットリウム系 / ビスマス系 / 磁束流抵抗 / 常電導抵抗 / インダクタンス / 限流器 / 限流ヒュ-ズ

Research Abstract

本研究は、高温超電導体の大電流通電にともなう電気・磁気的変化や熱的変化により発現・消滅する限流抵抗特性、高周波成分電流による抵抗変化、外部磁界効界、寿命特性など限流エレメントとしての基本動作特性の検討を目的とする。平成2年度の研究成果は次の通りである。(1)イットリウム系およびビスマス系のバルク超電導体の臨界電流密度は1000A/cm^2程度以下であったが、焼成技術はほぼ確立した。(2)大電流通電による発現する抵抗は、磁束流抵抗、常電導抵抗であることを示し、発現過程の動特性を明らかにした。(3)ビスマス超電導体とイットリウム超電導体の抵抗発現特性には差がみられることを示した。(4)イットリウム系超電導素子のインダクタンスは素子温度により変化することを見いだした。(5)DCから10kHz程度までの高周波電流通電による臨界電流の変化を検討した。(6)発現抵抗の電流、電力、電力量に対する定量関係から、磁束流抵抗を利用する限流器と常電導抵抗を利用する限流器の設計指束を示した。(7)超伝導体の限流ヒュ-ズへの応用を提案し、溶断・ア-ク時の抵抗特性を検討した。
平成2年度の研究はほぼ計画通りに進捗し、上に述べたように多くの知見、成果が得られた。これらをまとめて電気学会論文誌,超電導国際会議、電気学会電力・エネルギ-部門論文などに発表した。

Research Products

• [Publications] 中村 光一: "高温超電導体の限流効果の基礎特性" 電気学会論文誌.
• [Publications] Yasukazu Ito: "Current Limiting Resistance Characteristics of HighーTe Supercondactor" Third International Symposium on Superconductivity. FPPー40. 1-4 (1990)
• [Publications] 伊藤 泰一: "高温超電導体の限流効果の基礎特性" 電気学会電力・エネルギ-部門大会論文集(論文I). 1. 505-510 (1990)
• [Publications] 伊藤 泰一: "高温超電導体の短絡電流による抵抗変化" 電気関係学会東海支部連合大会. 291
• [Publications] 森下 伸一: "超電導限流ヒュ-ズ" 電気関係学会東海支部連合大会. 290. 290 (1990)
• [Publications] 須藤 明彦: "酸化物超電導体におけるインダクタンスについて" 電気関係学会東海支部連合大会. 288 (1990)
• [Publications] 伊藤 泰一: "高調波重畳電流に対する高温超電導体の抵抗特性" 電気学会全国大会.
• [Publications] 森下 伸一: "超電導限流ヒュ-ズの抵抗変化" 電気学会全国大会.
• [Publications] 須藤 明彦: "超電導" 電気学会全国大会.
• [Publications] 伊藤 泰一: "高温超電導体の限流素子への応用" 電気学会技術研究会資料. PEー89ー147. 57-63 (1989)