1991 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギ-植物の環境応答とその水分動態の電気的モデルに関する研究
Project/Area Number |
02650201
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
榊原 建樹 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10023243)
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Keywords | エネルギ-植物 / 植物生体情報 / 環境応答 / 水分動態 |
Research Abstract |
(1)試験室の構築:履歴効果の大きい植物の環境要因の変化に対する応答を調べるためには気温、湿度およびガス濃度を各々独立に調節できる「人工気象装置」を必要とする。すでに、本学では特殊空調室が設備されているので、その中に対象植物を導入する枠組みを組み立てた。更に、暗室である特殊空調室内で照度を制御するために、コンピュ-タによってオンオフを制御する蛍光灯を取り付けた。 (2)計測システムの開発:植物生体情報の計測の際、計測による生体への影響を極力、避けなければならない。また、計測の変化量は非常に小さく、他からのノイズを受けやすい。このような特徴をもつ植物生体情報の計測に適する感度が高くかつ非接触の測定器を開発した。茎径の測定には高感度のひずみゲ-ジを応用し、葉温の測定には0.1℃精度の放射温度計を使用した。その他、温度、湿度および蒸散量などのデ-タはすべてパソコンで記録し、処理した。(3)対象植物の選定:エネルギ-植物の中で、葉と幹がはっきり分かれていて、体内水分の動態の解析が比較的容易で、かつ、センサ-が取り付けやすい構造をしているホンコンカポックを選定した。特殊空調室に入る程度の大きさの鉢植えのホンコンカポックを計測の対象とした。(4)応答特性の計測:特殊空調室内において、外部環境の急変に対する上記植物の応答を計測した。すなわち、他の外部条件を一定に維持しておいて、照度だけをステップ状に変化させたときの茎径、葉温、蒸散量の経時変化を測定した。次に、温度だけを、その次には湿度だけを変化させて同様な特性を計測した。(5)植物体内の水分動態のモデル化:これらの計測結果に基ずいて、水ポテンシャルを電圧、蒸散流量を電流、流体抵抗を抵抗、コンプライアンスを静電容量と対応づけ、植物水分循環系を線形電気回路系に変換した。(6)計測した結果が、この電気回路系で解釈できるかどうかを検討し、植物生育メカニズムに果たす水分動態の役割を明確にした。
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[Publications] 丁 雅柳,見目 喜重,榊原 建樹: "木本植物の水分動態の日変化" 1991年電気関係学会東海支部連合大会講演論文集. 614 (1991)
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[Publications] 丁 雅柳,見目 喜重,滝川 浩史,土屋 幸男,榊原 建樹: "ステップ状光照射によるゴムの樹の水分動態の応答の温度依存性" 平成4年電気学会全国大会講演論文集. 1611 (1992)