1990 Fiscal Year Annual Research Report
自然結晶面の転写を利用した半導体単結晶薄膜のエピタキシャル成長法に関する研究
Project/Area Number |
02650224
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
高倉 秀行 富山県立大学, 工学部, 助教授 (30112022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜川 圭弘 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (10029407)
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Keywords | グラフォエピタキシ- / 共晶合金 / シリコン / 太陽電池 |
Research Abstract |
エピタキシャル成長の基本原理を考えると、不活性に近いアモルファス状態である基板表面に、成長させたい結晶の望みの結晶軸の周期場を何らかの方法で転写できて、その上にこれに習って結晶成長が進行すれば、全く結晶系の異なる材料の基板上に所望の単結晶が成長するグラフオエピタキシ-が可能となると考えられる。本研究はこの現象を利用して、大面積で望みの厚さ、結晶面を持Siの単結晶薄膜を成長させる技術を確立し、大面積の半導体基板を作製して太陽電池用半導体基板としての実用化への課題を探ることを目標としている。 平成2年度では、当初計画通り赤外線導入加熱装置を購入し、既設の高真空装置に設置した。現在、装置の立ち上げが終了し、これを用いてシリコンと各種金属との合金の溶融再結晶膜の結晶学的評価および結晶粒の形状の分析を行った。得られたデ-タを分析した結果、シリコンとの合金を作る際、シリコンの化学的活性度が非常に高いため、特に酸素との化合を避けるため、金属の蒸着および再結晶化プロセスは超高真空で行う事が必須である事が分かった。この点は、これまでのゲルマニウムの再結晶化とは大変異なる点であり、既存の超高真空蒸着装置の仕様変更を余儀なくされている。 またグラフォエピタキシ-効果が十分引き出されるためには、成長する物質が本来持つ結晶の癖、すなわち結晶の優先配向性を十分に活用する必要があるが、基板との濡れ性がこの優先配向性の再現性に大きな影響を持つ事が見いだされ、当初目指した最適な共晶金属を見いだすことと共に、最適な濡れ性制御膜を開発することがさらに重要であることが分かった。 平成3年度では、この反省を基に系統的な実験を行い、シリコンのグラフォエピタキシ-成長の最適条件を決定する実験を進める予定である。
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