1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650272
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
福留 公利 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (90038977)
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Keywords | カクテルパ-ティ効果プロセッサ / 両耳受聴信号処理 / 両耳入力信号デ-タベ-ス / 音源方向推定 / 音源スペクトル推定 / 回折情報辞書 / 狭帯域スペクトル分析 |
Research Abstract |
音響情報処理システムにおける目的信号音の検知・抽出に関する未解決の問題、すなわち「複数音源によって生じた干渉音場から目的信号音を高品質で抽出する」問題に対して一つの解決法を与えることが本研究の目的である。本研究ではカクテルパ-ティ効果を組み込んだ信号抽出システムの開発をめざす。そのためには両耳入力信号のいかなる情報が利用可能であるかを分析的に明らかにしたい。初年度である本年度では、まず両耳受聴による方向定位及び信号検出における信号処理モデルとして「両耳入力信号は夫々多数個の狭帯域フィルタ群によりスペクトル分解されたのち、信号のレベル、群遅延時間等を検出され、パタン認識処理によって信号処理される」モデルを採用した。また音源(音源数は1から3個まで)からの直接音だけが存在する場合を対象とした。 1.両耳入力信号デ-タベ-スの作製 種々の音源を無響室録音しディジタル化(DATへ録音)したのち、1^゚毎の入射方向に対応した両耳入力信号デ-タを作製した。方向設定誤差の影響を避けるために回析情報を音源信号にたたみこんだ。反射音を考慮する場合にも十分使える。 2.多数個の狭帯域フィルタ群システムの作製 計算機上に構築し諸パラメ-タの最適化について検討した。また出力信号のレベル、群遅延時間やピッチ等の情報の抽出及び可視化を容易にする点に特に注意した。 3.回析情報辞書を併用したシミュレ-ションによるパタ-ン認識処理に有効な情報の分析的検討 音源数が2個までは、音声のピッチ情報を手がかりとする両耳受聴信号処理で非常に精度良く音源信号が分離抽出できることを明らかにした。システムの抽出効率についても、S/N、到来方向の近接、ピッチの接近等の点に関して、シミュレ-ションでその影響を検討した。音源数が3個の場合の分析的検討は、現在進行中である。
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[Publications] 福留 公利: "両耳受聴信号処理による干渉二音源の分離抽出法ー音声のピッチを手がかりとして" 平成2年度電気関係学会九州支部連合大会構演論文集. 58 (1990)
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[Publications] 福留 公利: "音声のピッチ情報を手がかりとした両耳受聴信号処理による干渉二音源の分離抽出法" 電子情報通信学会技術研究報告(EAー90ー61)No.296. EA90. 41-48 (1990)
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[Publications] 福留 公利: "干渉音源の分離抽出用両耳受聴信号処理システムの抽出効率" 日本音響学会構演論文集(平成3年度春季)1ー7ー13. 平成3年春季I. 395-396 (1991)