1990 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚神経の電気刺激による人工聴覚のための音声信号の処理方法
Project/Area Number |
02650276
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
比企 静雄 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (50006227)
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Keywords | 感覚障害 / 聴覚障害 / 人工感覚器 / 人工聴覚 / 人工内耳 / 聴覚神経 / 音声 / 読唇 |
Research Abstract |
本研究では、聴覚神経の電気刺激による人工聴覚について、多重チャネルの電極の最も進んだ方式を取り上げ、音響的な情報のうちでも、とくに言語情報を対象として、それを最も有効に伝達できるような音声信号の処理方法を提案し、計算機シミュレ-ションと聴覚心理的実験によって、その有効性を確認することを目的としている。 このために、まず、聴覚神経の電気刺激による人工聴覚について、今後の電極の技術の進歩も想定して、音響的な信号に含まれる各種の情報要素が、それらの電極によって伝達され得る限界を、音響分析的および聴覚心理的な理論に基づいて考察した。 これらの考察のための前提として、音声の分類・表記について、とくに、人工聴覚を読唇と併用した場合の音声知覚の特性を、系統的に解析するのに適当な方法を検討した。 この分類・表記には、人工内耳の電極と音声信号処理回路の理論的な性質や、装置の調節状態や、使用者の個々の聴力特性や読唇の能力などの要因を取り入れてある。これによって、音声知覚における人工聴覚と読唇の相補関係が、詳細に分析できるようになった。 次に、理論的な情報伝達の限界の範囲内で、言語情報が最も有効に伝達されるように、音声信号を処理する方法を、現在、検討中である。 とくに、音声の情報伝達要素が、音声信号の周波数スペクトルの次元ではなく波形の次元に、できるだけ強調されるような処理方法に主眼をおいている。
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