1990 Fiscal Year Annual Research Report
波形情報と砕波による渦度供給過程に着目した砕波帯内波動場のモデル化
Project/Area Number |
02650354
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
灘岡 和夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70164481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 助手 (80201820)
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Keywords | 砕波 / 波形変形 / 渦度 / 波動方程式 |
Research Abstract |
砕波による波浪変形は、沿岸域の波動現象をモデル化する上で最も基本的な要素の一つであるが、現象が複雑であるため、いまだに物理性をもったモデル化がなされていない。そこで本研究では、まず既存の砕波変形モデルに共通する基本的な問題点を明らかにし、さらに現地観測の解析結果等を総合することにより目標とすべき砕波変形モデルの基本的枠組みを明確にすることを試みた。次に、砕波の物理過程に関する考察と室内実験結果に基づいて、新たに波形情報と砕波による渦度供給過程に着目した砕波帯内波動場のモデル化を行うことを試みた。 モデルの開発に当たっては、(1)ベ-スとする波動方程式、(2)数値解析に必要となってくる造波方法と領域境界での消波方法、(3)砕波による波の減衰と渦度の供給過程のモデル化、の順で検討を行った。まず、ベ-スとする波動方程式としては、砕波変形には局所的に波の非線形性と分散性が強く効いているため、灘岡ら(1983,84,86,87)による強非線形強分散性波動方程式を用いた。次に、造波方法としては自由表面に周期的な圧力の変化を与える方法を考察し、消波方法としてはスポンジ層と呼ばれる数値的な消波フィルタ-を設置する方法を用いた。最後の砕波による波の減衰と渦度の供給過程に関しては、波頂部前面に速度ポテンシャルのギャップ即ちの循環が生じてそれが渦度のソ-スとなり、同時にその時のポテンシャル場の再配置が波のエネルギ-減衰を表す、といった砕波の物理過程に関する考察に基づいて現象のモデル化を行った。また、供給後の渦度の拡散及び自由表面への効果はWakeモデルで評価した。 以上により、砕波変形モデルを構築し、計算例とともに示した。 また、将来の3次元不規則非線形波動場への拡張を考えて、上記の砕波変形モデルの開発と平行して、重み付き残差法に基づく多成分波動方程式の導出を試み、その基本的な特性と数値解法を示した。
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Research Products
(2 results)