1990 Fiscal Year Annual Research Report
波と流れの制御を目的とした沖合消波堤の平面的な配置法に関する研究
Project/Area Number |
02650362
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中村 孝幸 愛媛大学, 工学部, 助教授 (60108404)
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Keywords | 沖合消波堤 / 平面的配置 / 波浪制御 / 波向き制御 / 流れの制御 |
Research Abstract |
本研究は、沿岸海域の有効利用を目的として、多列形式の沖合消波堤による波浪および流れの制御効果を、堤体の空間的な配置や堤体の構造形式などに着目して明らかにしようとするものである。3年間の継続研究の初年度に相当する本年度は、まず波変形に関する理論的な解析法の開発およびその適用性に関する実験的な検証を中心にして研究を実施した。理論的な検討としては、最も一般的な3次元の任意形状物体が、平面的に規則配列された場合の波浪ポテンシャル問題の数値解析法を、効率的なグリ-ン関数法に基づき開発した。そして、グリ-ン関数の表示式に着目して、3次元堤体列による波変形が短峰性波形の平面的なものになる条件や、堤体列による透過波や反射波の波向き特性およびそれを考慮した透過・反射波高の合理的な評価法などを導いた。その結果、堤体列への直角入射波を想定する場合、作用波の波長が、隣接する堤体の中心間距離より小さくなると、配列堤体の各開口部からの回折散乱波の相互干渉により、透過波などには入射波の方向とは異なる成分波が含まれるようになり、その波面形状は2次元的なものになることなどが明らかになった。一方、実験的な検討としては、台形潜堤や矩形浮体および直立式堤体の各々が、空間的に規則配列されている場合を想定して水理模型実験を実施した。そして、これら各堤体列による透過波および反射波の波向きや波高の変動特性などを実験的に把握し、上記の数値解析法による算定結果との比較を行った。その結果、砕波などの非線形現象の影響が強く現れやすい潜堤列の場合を除き、透過波および反射波は、波高および波向き特性の両者ともに、上記の解析法を用いてほぼ理論的に推定できることなどが確認された。また、傾斜配置した直立式の矩形堤体列は、透過波の主卓越波向きを入射波のそれより変化させることが可能で、波向き制御構造物として有効であることなども判明した。
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[Publications] 中村 孝幸: "規則配列された3次元物体まわりの波浪境界値周題の解析法" 土木学会海岸工学論文集. 37. 524-528 (1990)
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[Publications] 中村 孝幸: "波向き特性を考慮した堤体列まわりの平面的な波変形の評価法について" 土木学会海岸工学論文集. 37. 534-538 (1990)
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[Publications] 中村 孝幸: "各種の平面形状を有する共振装置型堤体列の波浪制御効果について" 土木学会海岸工学論文集. 37. 529-533 (1990)
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[Publications] 中村 孝幸: "柱体列まわりの渦流れと作用波力に関する研究" 土木学会海岸工学論文集. 37. 664-668 (1990)
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[Publications] 中村 孝幸: "規則配列された3次元構造物まわりの平面的な波変形の特性" 愛媛大学工学部紀要. 12. (1991)
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[Publications] 中村 孝幸: "直立式堤体列による波向制御法に関する研究" 土木学会海岸工学論文集. 38. (1991)