1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650366
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
松尾 直規 中部大学, 工学部, 助教授 (20093312)
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Keywords | 貯水池水理 / 3次元解析 / 数値解析 / 水温成層流 / 富栄養化 |
Research Abstract |
1.我国に存在する貯水池の多くは、流下方向に細長く蛇行する複雑な平面形状とくさび形の縦断形状を有し、そこでの流体運動は現象論的にみた場合、1方向多層流れあるいは平面多層流れの特徴をもつことを実測資料より確めた。その上で、貯水池の形態的特徴をできるだけ忠実かつ汎用的に、しかも解析を行う上で効率良く表現するための手法について検討し、既存の測量デ-タを用い直交曲線座標系に従って形状を近似すると同時に3次元解析のための空間分割を行う方法を提案した。また、この形状表現法を室生貯水池と耶馬渓貯水池へ適用した結果、いずれにおいても良好な形状表現が得られ、その妥当性・有用性が検証された。 2.1.で得られた貯水池モデルと空間分割に基いて、貯留水の流れと水温・水質濃度の非定常な3次元的変化を取り扱うための平面多層モデルを直交曲線座標系を用いて定式化した。さらに、得られたモデルをコントロ-ル・ボリュ-ム法により積分展開し、空間平均量に関する離散型の数値解析のためのモデル式に変形するとともにその数値アルゴリズムを作成した。 3.2.で得られた数値解析手法を室生貯水池および耶馬渓貯水池に適用し、水温成層流の挙動とそれに伴う各種水質物質の流下・伝播・貯留過程ならびに各種藻類の発生現象とそれに関連する水質変化を解析した。その結果、過去に得られた知見と一致する流体運動特性が再現されるとともに、流速分布に基いた流れの滞留状況が3次元的に示され、流出入に伴う各種水質の流下・貯留特性が明らかとなった。また、流れの滞留域において藻類の発生と集積化が進み、出現した高濃度塊が流れにより移流・拡散する状況が再現され、富栄養化現象に及ぼす水理的要因の影響を少なくとも定性的に把握することができた。なお、モデルによる現象再現性についても実測値との比較より良好であることを確認した。
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Research Products
(2 results)