1990 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的脱窒プロセスからの亜酸化窒素ガスの生成量評価とその制御に関する研究
Project/Area Number |
02650378
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花木 啓祐 東京大学, 工学部, 助教授 (00134015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 友矩 東京大学, 工学部, 教授 (80010784)
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Keywords | 生物学的脱窒素 / 亜酸化窒素 / 地球温暖化 / 廃水処理 / し尿処理 / 富栄養化防止技術 |
Research Abstract |
今年度の研究では,まず脱窒の過程でそもそも亜酸化窒素の生成が起き得るものか否かを明らかにすることを目ざして実験的検討を行なった。し尿処理場における脱窒を想定し比較的高濃度の酢酸と硝酸性窒素を基質として与えた。実験は3リットル程度のガラス製リアクタ-を用い、連統的に基質を投与した。実験条件として,基質中のCOD/NO_3ーN比(以下CN比と記す)と滞留時間をそれぞれ独立に変化させた。 完全に脱窒を起こすために必要なCN比は,化学量論的には2.86であるが,実際には3.5程度が必要である。本実験においもCN比が1.5の場合と2.5の場合には、有機物はほぼ分解されるのに硝酸と亜硝酸が残存する.いわゆる不完全脱窒の状態になった。そして、注目されるのは、このような状態のもとで亜酸化窒素の生成が見られたことである。特にCN比が1.5で滞留日数が5日の場合には、発生した窒素系ガスの10%以上が亜酸化窒素であった。ただし、滞留時間を長くする、すなわち負荷を下げてゆくと脱窒は不完全ながらも亜酸化窒素の生成は減少した。一方、CN比が3.5の場合、滞留日数5日では亜酸化窒素の生成がみられず硝酸もほぼ全量除去された。しかし、滞留日数を3日,あるいは2日と短かくして行くと亜酸化窒素が蓄積するようになり、同時に亜硝酸や硝酸も蓄積するようになった。 これらの実験結果から,CN比が小さいほど亜酸化窒素が発生しやすいこと、CN比が通常の範囲でも滞留日数を短かくして負荷を高めると亜酸化窒素の生成の可能性があることがわかった。 亜酸化窒素生成に影響を及ぼす可能性のある因子としてpHがあるがこれは次年度の課題である。
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