1990 Fiscal Year Annual Research Report
下水汚泥溶融スラグの結晶化機構と強度発現に関する研究
Project/Area Number |
02650379
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
桃井 清至 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60003852)
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Keywords | 溶融スラグ / 水砕スラグ / 空冷スラグ / 結晶化スラグ / 塩基度 / シリカ |
Research Abstract |
下水汚泥熔融処理システムでは、融液の冷却方法によって、水砕スラグ、空冷スラグ、結晶化スラグの3種類に分類される。前2者歯、下水汚泥中の無機主成分であるシリカ(SiO_2)の影響を強く受け、ガラス質で強度は弱く、建設資材として利用する場合、その用途は限られている。一方、結晶化スラグは強度も高く、その利用用途は広いが、製法は技術的に確立されていない。 本年度は、スラグの結晶化に影響を及ぼす下水汚泥無機成分組成について、及び経済性の立場から無機成分の熔融性に影響を及ぼすアルカリの効果について検討した。各の実験系で以下のような知見が得られた。 (1)下水汚泥中の無機主成分は酸化物の形に換算してSiO_2、CaO,Fe_2O_3、Al_2O_3、P_2O_5で80%以上を占めている。この内、スラグのガラス質の成分はSiO_2、Al_2O_3、P_2O_5であり、結晶核となる成分はFe_2O_3である。また、ガラスの性質を失わせ結晶化を即す成分はCaO出ある。 (2)ガラス成分の代表としてSiO_2を、結晶核としてFe_2O_3、結晶促進成分としてCaOの3成分を混合し人工灰を作成し、各成分の結晶化への影響を検討した。3成分状態図を作成した結果、Fe_2O_3が20%以上が結晶化範囲となった。また、Fe_2O_3が10%と一定でもCaO量が増加(SiO_2量は減少)すると結晶化が進行した。ガラス化範囲のスラグの結晶化エネルギ-を測定した結果でもCaOが増加すると結晶化エネルギ-は減少し、結晶化しやすくなることが裏ずけされた。 (3)熔融温度低下改善方法として塩基度(CaO/SiO_2重量比)を調整するよりもNa_2O/CaO重量比を調整すると効果がある。
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[Publications] 桃井 清至: "下水汚泥の建設資材への利用" 化学と工業. 42. 112-116 (1989)
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[Publications] 元重 浩: "下水汚泥溶融スラグの結晶化と汚泥成分の影響" 土木学会編 年次学術講演会講演概要集. 45. 1000-1001 (1990)
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[Publications] 桃井 清至: "下水汚泥溶融スラグの結晶化に関する研究" 日本下水道協会編 下水道研究発表会講演集. 27. 547-549 (1990)
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[Publications] 桃井 清至: "溶融スラグの組成性状と結晶化に関する研究" 全国都市清掃会議編 全国都市清掃研究発表会講演論文集. 12. 124-126 (1991)