1990 Fiscal Year Annual Research Report
陽電荷フィルタ-を用いた低濃度の微生指標微生物の濃縮方法に関する実験的検討
Project/Area Number |
02650386
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
平田 強 麻布大学, 環境保健学部・環境保健学科, 助教授 (50005493)
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Keywords | 陽電荷フィルタ- / 大腸菌ファ-ジ / 等電点電気泳動 / 吸着 / 両性電解質 |
Research Abstract |
陽電荷フィルタ-(ゼ-タプラスフィルタ-)のコリファ-ジ吸着能力を評価するために、6mMリン酸塩緩衝液(pH7)にコリファ-ジを添加してその捕捉能力を調べたところ、直径22mmフィルタ-で2x10^9cfu(5x10^8cf/mlに相当する)のファ-ジ量をほぼ完全に吸着することができた。次に、コリファ-ジが存在することが分かっている環境水を用いて同様の実験を行ったところ、濾過水量を増加させるにつれてファ-ジ捕集能力は著しく低下した。その低下の程度は環境水の水質に関連があるように見受けられ、なかでもアンモニア性窒素濃度に関係する傾向があったので、再び6mMリン酸塩緩衝液(pH7)にコリファ-ジを添加した系で、アンモニア性窒素の影響についての試験を行った。アンモニア性窒素の濃度を増加させるとフィルタ-を通過するファ-ジの量が増加したが、その影響は小さく、最終濃度が1Mになるようにアンモニア性窒素を添加しても濾液側に漏出するファ-ジの量は添加したファ-ジの10%程度であった。同時に塩化ナトリウムでも試験を行ったが,類似の結果となった。これらの結果から、陽電荷フィルタ-への吸着の低下にはそのほかにいくつかの水質因子が関与しているものと推測された。 次に大腸菌群ファ-ジの静電的性状を明らかにするために、ファ-ジの環境分離株を用いてロトフォア等電点電気泳動装置による泳動試験を試みたところ、泳動後のファ-ジ濃度が著しく低い値となった(回収率は1%あるいはそれ以下)。そこでその原因について調べたところ、隔壁として使用されているメンブレンコアにファ-ジが大量に吸着すること、等電点電気泳動の際に使用する両性電解質がファ-ジ濃度を大きく低下させることの2点が明らかになった。このことはフィルタ-へのファ-ジの吸着についての研究の遂行に大きな支障となるので、さらに検討を行っている。
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