1992 Fiscal Year Annual Research Report
陽電荷フィルターを用いた低濃度の衛生指標微生物の濃縮方法に関する実験的検討
Project/Area Number |
02650386
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
平田 強 麻布大学, 環境保健学部, 助教授 (50005493)
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Keywords | 陽電荷フィルター / 大腸菌ファージ / 等電点電気泳動 / 大腸菌 / ウェルシュ菌 / 濃縮 |
Research Abstract |
昨年度に引続いて、大腸菌ファージT1とQβ及び環境分離株(未同定)の3株を供試ファージとして隔膜式等電点電気泳動装置ロトフォアの利用可能性を検討した。その結果、いずれのファージ株も隔膜に大量に吸着されることが再確認された。更に、吸着プロファイルと液中残存プロファイルには、等電点ピーク近傍では類似性があることも再確認された。このことは、泳動過程で隔膜を通過しなければならないような本装置では、隔膜の材質などを変更しないかぎり、正確な等電点は求められないことがわかった。現在、この吸着現象を抑制するような隔膜は開発されておらず、ファージなどのウイルスの等電点電気泳動を行うには無隔膜方式のものを使用しなければならないことが明らかになった。 細菌については大腸菌群とウェルスシュ菌を供試菌とし、陽電荷フィルターの捕集能力について、室内実験を行っている。一部得られた結果によれば、ウェルシュ菌についてはきわめて高い捕集率を示す傾向が認められるデータが入手されつつある。大腸菌群については、ウェルシュ菌よりも若干捕集率が低い傾向が認められるデータが入手されている。 ファージの等電点に関する実験で予想しない現象が生じて一応の結論を出すのに手間取ったため、陽電荷フィルターへの細菌の捕集に関する実験の着手が遅れたが、現在、大腸菌とウェルシュ菌の2つの細菌の捕集能力に関する検討を継続しているところである。 これまでの3か年間の検討により、陽電荷フィルターを捕集剤として利用する微生物濃縮方法は衛生指標細菌には応用可能であるが、ファージ等ウィルスの濃縮には、比較的清澄な水の場合には簡便な濃縮方法としてある程度利用可能であるが、高い捕集率を要求されるような場合にはかなり難点があると予想された。
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