1992 Fiscal Year Annual Research Report
弾塑性地震応答による偏心建築物の設計方法に関する研究
Project/Area Number |
02650390
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
尾崎 昌凡 千葉大学, 工学部, 教授 (70114254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 徹 千葉大学, 工学部, 助手 (10226855)
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Keywords | 耐震設計 / 偏心建築物 / 損傷集中 / 層崩壊形 / 全体崩壊形 / 最外縁構面 / 弾塑性応答解析 / 復元力特性 |
Research Abstract |
無偏心構造物のせん断耐力比の概念を偏心構造物に適用したせん断-ねじれ耐力比の概念に基づく設計方法の適用性について、弾塑性応答解析により、層崩壊形建築物のみならず、各層の梁が降伏する全体崩壊形建築物に対しても有効である事を確認し、さらに、偏心建築物で特に損傷が集中する最外縁構面についても、層崩壊形建築物・全体崩壊形建築物の双方に対して検討し、偏心建築物の総合的な耐震性の検討を行った。 具体的には、まず、1層偏心構造物の弾塑性応答変形角を、静的弾性変形角とせん断ねじれ耐力比により無次元化し、この値を用いて偏心構造物の弾塑性応答を無偏心構造物の弾塑性応答と比較した。これより、1層1軸偏心構造モデルの損傷を、より単純な1層無偏心構造モデルの弾塑性応答性状を把握することにより予測できることを明らかにした。つぎに、層崩壊形多層偏心建築物の損傷を評価するために、せん断系2層構造モデルについて同様の評価を行い、これについても無偏心構造モデルの弾塑性応答性状を把握することにより損傷予測が可能なことを確認した。さらに、全体崩壊形多層偏心建築物については、これを1層偏心構造物に等置し、弾性最大応答転倒モーメントおよび降伏転倒モーメントを評価することによって、上述のせん断-ねじれ耐力比を求めることができることを示し、これを用いた1自由度系の弾塑性応答性状を把握することにより全体崩壊形建築物の損傷を評価することが可能であることを明らかにした。 最後に、これらの指標の設計への応用の可能性を検討するために、RC造4層建築物の試設計を行って、せん断-ねじれ耐力比による耐震性能の評価を試みている。 今後の課題としては、これらの指標を用いて作成した構造モデルの振動実験を行うなどの方法により、この考え方の実用性の検証を行うことが挙げられる。
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