1990 Fiscal Year Annual Research Report
RC部材のせん断破壊性状に及ぼす主筋のダボ作用と付着作用の影響に関する研究
Project/Area Number |
02650394
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小林 克巳 福井大学, 工学部, 助教授 (40150297)
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Keywords | せん断耐力 / せん断補強 / ダボ作用 / 付着作用 / ひびわれ |
Research Abstract |
部材端部の斜めひびわれ、主筋のダボ作用およびそれによって生じる主筋に沿うひびわれと付着劣化等を考慮してマクロ的な予備解析を行った。その結果、ダボ作用に起因する主筋に沿うひびわれ発生と付着劣化の程度が、せん断耐力、破壊モ-ド、各せん断低抗要素のせん断力分担率に大きな影響を及ぼすことが分った。また、斜めひびわれが主筋を横切る位置に太径のせん断補強筋を配置するなどして、主筋のダボ変形を拘束してやれば、主筋に沿うひびわれの進展もおさえられ、付着劣化の範囲も小さくなってダボ作用によるせん断低抗が大きくなることが分った。さらに、ひびわれ幅も小さくなることから、変形性能も向上することが期待される結果となった。 以上の予備解析の結果に基づき、主筋のダボ変形に対する拘束力を変化させた試験体を作成し、せん断実験を実施した。スパン内のせん断補強筋本数を一定とし、せん断補強筋間隔と斜めひびわれが主筋を横切ると予想される位置に集中的に配置するせん断補強筋量をパラメ-タとした。実験結果によれば、せん断補強筋間隔が部材せいの半分程度まで大きくなっても、間隔が小さいこのと比べて耐力的に全く変らず、また最大耐力後の耐力低下もむしろ少なくなった。ひびわれ発生状況および断補強筋のひずみ状態を見ても、主筋のダボ変形が拘束されていることは明らかで、予備解析の結果と合せ、ダボ作用およびそれに起因するひびわれ、付着劣化を防ぎ、ダボ作用によるせん断低抗を大きくすることが重要であることが分った。別の見方をすれば、せん断補強筋を増やす場合、間隔を小さくしても、斜めひびわれを予想する位置に部分的に集中配筋しても、同等の効果が得られるということであり、等間隔配筋ではコンクリ-ト打設を考えると物理的に配筋しきれないような場合でも、適当な位置に集中配筋することによりせん断補強筋間隔を確保した配筋が可能になることを示唆している。
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