Research Abstract |
無限領域中の一点に集中荷重を受ける場合の荷重点近傍の弾性応力および変位の解は弾性基本解,または単に基本解と呼ばれ,近年著しい発展をとげている境界要素法の解析理論を構成する上で重要な役割を果たしている.本研究では,有限要素法を利用した半解析的手法によって,この弾性基本解の数値解を得る試みを行った. 本研究により,以下のことが明らかになった.(1)2次元および3次元弾性体において,集中荷重近傍の解(弾性基本解)を有限要素法によって解析する場合,一般には固有値解析問題になる.(2)しかしながら,2次元問題の弾性基本解のうち,通常の集中荷重を受ける問題(Kelvin解,Boussinesq解,Cerruti解)のみ例外で,この種の問題は,変位が対数型特異性をもつため,固有値解析問題とならず,荷重ベクトルを右辺とする連立方程式を解く問題となる.(3)有限要素法でKelvin解,Boussinesq解,Cerruti解を解析するとき,2次元問題では,この3つの解の対称性を議論することなく解くことができるが,3次元問題では,Kelvin解とBoussinesq解は,軸対称問題として,Cerruti解は面対称問題として,それぞれ区別して解析しなければならない.(4)弾性基本解の応力もクラック先端近傍の応力も,どちらもr^<λー1>の形のべき乗型の特異性をもつが,弾性基本解の場合は,λは0または負の整数であるのに対して,クラック先端近傍の応力解は,λは0<λ<1の値をとる.(5)弾性基本解を有限要素法によって解析したところ,2次元問題の場合も3次元問題の場合も,解は非常に良好な収束性をもっている. なお,当初の研究目的のうち,Mindlin解の解析法を確立とTransーverselyーlsotropy問題への拡張および動的問題への発展については,本研究年度内に成果が得られなかった.
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