1990 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返し載荷を受ける「引張筋違」の破断防止に関する研究
Project/Area Number |
02650408
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
平野 道勝 東京理科大学, 工学部第1部, 教授 (80084359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穂積 秀雄 東京理科大学, 工学部第一部, 助手 (10084336)
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Keywords | 筋違 / 繰り返し載荷 / 破断 |
Research Abstract |
研究主題の「引張筋違」とは,設計上では引張力は負担するが圧縮力は負担しないと仮定される筋違を指すが,実際には引張・圧縮の繰り返し応力が作用するので,引張力のみを受けるときよりも早期に破断する恐れがある。この破断に関して,その現象の把握と破断決定因子の抽出が本年度の研究目的である。 実験は春季および秋季に,単一山形鋼筋違を想定して,山形鋼単材に対して,引張・圧縮の繰り返し載荷試験を行った。 春季は,幅厚比および細長比を実験変数とした端部固定の14体の試験体を用いた実験で,上記の早期破断が杞憂ではないことを確認した。破断は,材軸方向中央部で全体座屈に伴う局部座屈の発生位置で生じ,単純引張時の荷重ー変形曲線と比較したとき,歪硬化域に到達した直後であった。秋季の実験は,端部をガセットプレ-トに高力ボルトで接合した13体を用いた。この試験においても,いわゆる保有耐力接合をした試験体では,上述の中央部破断であった。 この破断は,圧縮時に局部座屈による膨らみが,繰り返しの初期の段階では引張時に解消されるが,大変形の繰り返しでは解消されず,従って,引張力に対して全断面有効とならず,極めて狭い局所への応力集中による生じるものと観察された。 因子分析では,細長比の小さなものほど早期破断となることが確認されたが,幅厚比の影響は正確には把握に到らなかった。結論として,山形鋼筋違の場合には,早期破断とはいうものの実用上は問題がないと考えられる。現段階では,歪拘束の激しいH形鋼や角形鋼管に問題が生じるものと認識している。
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Research Products
(1 results)