1991 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返し載荷を受ける「引張筋違」の破断防止に関する研究
Project/Area Number |
02650408
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
平野 道勝 東京理科大学, 工学部第一部, 教授 (80084359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穂積 秀雄 東京理科大学, 工学部第一部, 助手 (10084336)
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Keywords | 筋違 / 繰り返し載荷 / 破断 |
Research Abstract |
筋違材では,大地震時に引張降伏と全体座屈が繰返し生じることがある。全体座屈は局部座屈を伴うことが多く,局部座屈箇所が破断に至った災害例も報告されている。平成2年度の実験から,この破断は,基本的には極低サイクル塑性疲労の現れと推察された。そこで,本年度は,補助金申請時の計画を一部修正することとはなるが,上述の破断現象を繰返し曲げ実験による交番塑性局部座屈としてシミュレ-トし,局部座屈領域に生じる破断現象を観察・観測し,断面形状・幅厚比・材料特性等が影響するメカニズムを,主として定性的に解明することを目的とした。 実験は,断面形状(鋼管,角形鋼管,H形鋼)・幅厚比(角形鋼管でB/t=22.2,44.4)・材料特性(応力焼鈍の有無)を実験変数とし,総数13体の試験体で行った。試験体は,本体と固定用の外筒からなる片持梁形式とし,本体と外筒は高強度のモルタルを充填して固定した。載荷は正負交番の曲げ載荷とし,計測は主に局部座屈箇所での歪みを計測した。 この実験から以下の結論を得た。亀裂の発生は全ての試験体で局部座屈の凹部に生じた。亀裂発生に至る箇所での局所ひずみの最大振幅は極めて大きく,例えば角形鋼管では約20%に達した。従って,亀裂発生時の応力は,引張試験による引張強さに達しているものと推察された。これらのことから亀裂発生に至るメカニズムは,局部座屈による有効断面の減少と,その断面に集中する高応力に起因する延性破壊と結論づけられた。 以上,本研究により,未解明であった筋違材の破断に至る基本メカニズムが把握できたものと考えている。なお,亀裂の発生は,全塑性耐力時の変形の数十倍という極めて大きな変形で生じた。この点は,本実験と筋違材の実際の破断との相違点であろうと思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 平野 道勝,穂積 秀雄: "筋違材の座屈破断に関する基礎研究 その1 実験計画と結果" 日本建築学会大学梗概集.
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[Publications] 平野 道勝,穂積 秀雄: "筋違材の座屈破断に関する基礎研究 その2 考察" 日本建築学会大会梗概集.