1991 Fiscal Year Annual Research Report
完全遮音空間内への緊急警告音導入システムに関する研究
Project/Area Number |
02650419
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Research Institution | Kyushu Institute of Design |
Principal Investigator |
藤原 恭司 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (00038978)
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Keywords | 遮音空間 / 緊急警告音 / パワ-密度スペクトル / 相関係数 / 残留エネルギ-比 |
Research Abstract |
空気伝搬騒音防止の目的のための空間は堺界面の遮音量をできる限り大きくするように設計され、施工される。完成した遮音空間への外部からの騒音と共に全ての音の伝搬が困難になる。しかし、これらの音の中には人間にとって重要な音が存在している。例えば、救急車、パトカ-、消防車などの緊急警告音は人間に危険を知らせる信号として、また、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、そよ風などの自然界の音は心地よい音として重要である。騒音対策により一方的に騒音を排除したため、本来人間にとって重要であった音までも排除されることは好ましいことではない。この研究の目的は、たとえ遮音された空間であっても人間にとって重要な音が到来してくれば積極的に伝達させようとするものである。その基視的な研究として、まず信号を救急車、パトカ-及び消防車の緊急警告音に限定し、それらの音を判定する方法とその有効性をコンピュ-タによるシミュレ-ションによって検討した。 到来音の判定はあらかじめ登録された標準パタ-ンと到来音の分析結果の1)相関係数、及び2)残留エネルギ-比を計算し、その値が設定値を満足するか否かで行った。 まず使用する標準パタ-ンは実際の録音した緊急警告音のスペクトル(パワ-密度スペクトル)の平均をデイスプレイ上で観察し、そのパタ-ンが安定するところを見つけ、さらに収録した数サンプルについて平均したものを用いた。なお到来音の分析も同様にスペクトルの平均を求めた。 この結果、判定に用いる標準パタ-ンは緊急警告音の場合およそ1.6〜3.2秒間を200〜400回平均して求めれば良いことが分かった。ただしこの場合、サンプリング周波数は32HKz、FFTのサンプル数は512個である。 また、判定には相関係数と残留エネルギ-比の両方を用い、設定値を相関係数は0.7、残留エネルギ-比は0.2にすれば、価率の高い判定ができることが分かった。すなわち、相関係数が0.7以上で、しかも残留エネルギ-比が0.2以下であれば、それはタ-ゲットにした警告音であるとして、遮音空間内に伝達させる処理を実行させることにした。
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