1990 Fiscal Year Annual Research Report
建築設備の保全費用にもとづく機能劣化と更新時期の決定に関する研究
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02650420
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾島 俊雄 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20063670)
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Keywords | 機能劣化 / 保全費用 / 機能劣化曲線 / 保全行為 / 更新 |
Research Abstract |
物理的要因の保全行為は劣化部位の機能を原状に回復する行為で、その保全費用の大きさが劣化の大きさを示すという考えから、物理的機能劣化度の評価に保全費用を指標とした機能劣化曲線を考案した。この考え方により、部位の保全行為を定期保守、小規模修繕と大規模修繕に分けて簡易モデル化し、その組合せから機能劣化曲線パタ-ンは直線型、加速型、減速型の3例になることを示した。 次に、某銀行本店ビルの竣工から大規模改修工事が行われるまでの23年間の維持管理に関するデ-タを約1,200件を調査・整理し、23年間におけるライフサイクルコストを算定した。そして、各部位の更新に至る機能劣化曲線を作成し、その劣化曲線パタ-ンから部位の劣化特性を把握した。その結果、(1)直線型は、定期保守が主体の部位あるいは構成部品の寿命が短く経常的に小規模修繕がある部位であること、(2)加速型は、建築躯体や配管などの材料系の部位と定期保守のない電気系や機械系の事後保全的要素の強い部位であること、(3)減速型は、ほとんどないことなどを明らかにした。建築設備のシステム系では、直線型あるいは直線型に近い加速型を示す部位が多かった。以上、各部位の劣化状況が非常に明確になった。 このような解析を重ねることで各部位の更新に至る標準機能劣化曲線を作成し、この標準機能劣化曲線と更新時期を推定する部位の実際の機能劣化曲線と比較検討することで更新時期の推定が可能となると考えられる。今後の研究計画としては、部位の機能劣化曲線を一般性のあるものに高めるために異なる建物の調査を行いデ-タを整理している所である。また、この劣化曲線を用いた更新時期の推定方法を検討していく予定である。
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[Publications] 村上 公哉: "建物の保全費用からみた物理的要因の機能劣化に関する研究" 日本建築学会計画糸論文報告集. 418. 115-124 (1990)
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[Publications] 村上 公哉: "機能劣化曲線の考え方に関する研究建物の保全費用からみた物理的機能劣化に関する研究(その1)" 日本建築学会大会学術講演梗概集. D. 141-142 (1990)
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[Publications] 神園 和美: "部位の機能劣化曲線の作成と劣化特性の把握建物の保全費用からみた物理的機能劣化に関する研究(その2)" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 143-144 (1990)
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[Publications] 竹林 芳久: "建築設備の更新に関する研究(更新時期の推定)" 日本建築学会大会学術講演梗概集. D. 139-140 (1990)