1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650421
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安藤 邦廣 筑波大学, 芸術学系, 助教授 (20011215)
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Keywords | 民家 / 板倉 / せいろう倉 / 落とし板倉 / 貫倉 |
Research Abstract |
日本で板倉構法が比較的良く残る三地域、すなわち茨城県大子町、長野県八ヶ岳山麓,長崎県対馬の板倉の実地調査の結果、以下の点が明らかとなった。 1。大子町 角材を井桁に組んだせいろう倉,四隅に柱をたてて厚板を落とし込んだ落とし板倉,柱を密にたて、貫で固めて薄板をはめ込んだ貫倉の三類型がある。せいろう倉,落とし板倉,貫倉の順に古い構法であり,数も少い。使用木材量もその順に少くなる。落とし板倉と貫倉は外側を土で塗り込めたものも、数は少いが存在することが明かとなった。 2。八ヶ岳山麓 せいろう倉と落とし板倉の2類型がある。せいろう倉は古い構法で数も少い。せいろう倉.落とし板倉ともに土で塗り込めることを前提として、あらかじめ屋根には土をのせている。荒壁が塗られた状態のものが大半を占める。しっくいを塗られて土蔵として完成されたものは少く、板倉から土蔵へと変遷した時期は明治以降と推定される。 3。対馬 板倉は集落のはずわに群倉としてまとまって建てられている。建設年代は明治以降のもの。構法は平角の柱を密に立て、貫で固めて厚い一枚板を柱間ははめ込んだもの一種類で,その変遷は認められない。
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[Publications] 安藤 邦廣: "民家の板倉構法の変遷と成立構造" 日本建築学会論文報告集. (1992)
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[Publications] 安藤 邦廣: "日本の板倉" INAX, 48 (1992)