1990 Fiscal Year Annual Research Report
化学合成無機栄養菌による硫化銀のリ-チングに関する研究
Project/Area Number |
02650445
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
中澤 廣 岩手大学, 工学部, 助教授 (00113861)
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Keywords | 化学合成無機栄養菌 / バクテリアリ-チング / 硫化銀 / 銀イオン / 阻害作用 / 鉄酸化活性 / 硫黄酸化活性 / 馴養 |
Research Abstract |
化学合成無機栄養菌(T.ferrooxidans、T.thiooxidans)による硫化銀のリ-チングの可能性を探るため、本年度は以下の点に関して検討した。 (1)T.ferrooxidansの鉄酸化活性と硫黄酸化活性におよぼすAg^+の影響 (2)Ag^+に対する馴養と銀耐性菌の探索 実験に用いた菌は、旧松尾鉱山中和処理場及びそれ以外の地点で採取した菌をシリカゲル平板法により単離し、Fe^<2+>あるいはS^Oを基質として培養した菌で、T.ferrooxidansが主体と考えられる。それぞれ松尾菌、U4ー25、Bー12、Eー24と呼ぶことにする。培地として、9K培地から塩化カリウムを除いたものを用いた。 1.硫黄酸化活性に対するAg^+の影響 まず、S^Oあるいは菌を含む系におけるAg^+濃度(初期濃度1.1ppm)の経時変化について検討し、S^O(濃度0.5%)のみを含む系においては、1日後で約0.5ppmまで低下し、菌(菌体濃度1.2×10^8)のみを含む場合でもAg^+濃度が緩やかに低下した。このことより、Ag^+はS^O菌に吸着するものと考えられる。松尾菌を用いて、Ag^+濃度を約0.5ppmとしてpHの経時変化を調べたが、42日経過してもpHの変化は認められず、Ag^+により阻害されたものと考えられる。そこで、Ag^+濃度を0.1ppmとして培養し、増殖した菌をAg^+濃度を0.5、1.2、2.4ppg^+濃度は1.4ppm)においても硫黄酸化が可能となった。また、Fe^<3+>は、Ag^+の阻害作用を緩和する効果が明らかになった。 2.鉄酸化活性に及ぼすAg^+の影響 Ag^+の鉄酸化活性に対する阻害作用は極めて強く、Ag^+濃度0.1ppmでU4ー25、Bー12の鉄酸化阻害作用は阻害された。しかし、Eー24はAg^+濃度0.2ppmでもFe^<2+>の酸化は可能であるが、Ag^+濃度0.5ppmでは鉄酸化活性が阻害された。現在、Ag^+濃度を段階的に高めてこのEー24の馴養を行っているところである。
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