1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650450
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 昌敬 東京大学, 工学部, 講師 (50190369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮沢 政 東京大学, 工学部, 助手 (30010987)
田中 彰一 東京大学, 工学部, 教授 (50010799)
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Keywords | フラクタル / 界面 / ビスカスフィンガリング / HeleーShaw / 石油工学 / 画像処理 |
Research Abstract |
微小な隙間における異種流体の置換現象を観察するため、アクリル板を2枚重ねたHeleーShaw実験モデルを製作した。上下のアクリル板は、各々、直径60cmと66cmの円板であり、厚さ2cmである。この上下板間の微小な隙間に満たされたある流体が他の流体により置換される時に生じる流体界面の形状を観察した。モデルは、この隙間を0.5mm、0.8mm、1mmに調整できるように設計した。 最近の研究で、低粘性流体が高粘性流体を置換する場合、流体間界面に不安定性が生じてフラクタルなパタ-ンを形成することがわかってきた。本研究では、水(粘度約1mPa・s)と2種類のグリセリン水溶液(粘度約100mPa・s、600mPa・s)を用いて、流体置換時における界面の形成過程を観察した。実験では、まずモデル内に一方の流体を満たした後、下板の中心に開けられた径1mmの注入孔より、他の流体を放射状に圧入した。この時、一方の流体には青色染料で色をつけてあり、流体間の界面形状の変化を可視化した。実験中の界面の発達の様子は、モデル上方に設置したCCDカメラを通してビデオテ-プに録画した。録画したデ-タを画像解析して、流体界面の形状の抽出、その発達過程の解析を行った結果、以下のことがわかった。 (1)低粘性流体が高粘性流体を置換する場合は、その界面がフラクタルなパタ-ンを形成した。このパタ-ンは、粘性比が大きく置換流速が大きいほど複雑な発達をした。パタ-ンが複雑になるほどフラクタル次元d_fは小さくなり、1.96〜1.8の値が得られた。 (2)置換流体の粘度が被置換流体の粘度より大きいまたは等しい場合は、その界面に乱れは発生せず、安定的な放射状の置換がみられた。この場合のフラクタル次元は、2.0であった。
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