1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650459
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武沢 和義 北海道大学, 工学部, 助手 (80001311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸川 健三郎 北海道大学, 工学部, 教授 (20001191)
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Keywords | ベイナイト変態 / マルテンサイト変態 / 拡散型変態 / CuーZnーAl合金 / 積層欠陥 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
CuーZnーAl合金のβ_1'マルテンサイトを安定化させ、これを恒温加熱した際に生じる相分解の過程を電子顕微鏡で調べた。実験には加熱温度における平衡状態がα+γ_2相とα+β_1相になる二種類の合金を用いた。いずれの場合も、分解の初期段階では非底面上の積層欠陥に沿って板状組織が生成し、長さ方向に成長するのが認められた。それに伴って9R構造の斑点位置の近くに新しい回折斑点が現れ、これは9Rとbccの中間的な構造を仮定して説明できた。加熱時間が増すと、回折斑点の強度分布は更に変化して規則化bccの回折斑点と同じになる。この過程はマルテンサイト的な剪断変形機構によってβ_1相が生成したことを示している。分解の後期における組織変化は合金組成によって異なり、平衡相がα+γ_2相のときには板状β_1相は粒状化しながらγ_2相へ再変態し、α+β_1相のときにはマルテンサイトがfccに変態する一方、生成相はβ_1相のまゝであるが界面の平面性が著しく悪くなった。これらの粒状化の過程は、マルテンサイト的な機構による変態が終了して、拡散的な機構のみになったことを示す。この拡散的な機構は後期になって働き始めたものではなく、最初から働いていたと考えられる。板状β_1相の生成が変態潜伏期間を持ち成長すること、およびβ_1相の生成に先立って積層欠陥密度が増加するという実験事実がこの裏付けとなる。従って、分解の初期段階に認められた板状β_1相はマルテンサイト的な剪断変形機構と拡散的な変態機構を併せ持っており、ベイナイト的に生成したと判断できる。以上により、マルテンサイトからβ_1母相への逆変態においてもベイナイト変態的要素をもった変態過程の存在することが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Takezawa: "Nucleation and growth of bainite crystals in CuーZnーAl alloys" Met.Trans.21A. 1541-1545 (1990)
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[Publications] 武沢 和義: "タイプの異なる相変態の中間とは?ー銅系形状記憶合金のベイナイト変態機構を考えるー" バウンダリ-. 6. 48-52 (1990)
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[Publications] K.Takezawa: "Bainite plate and Widmanstuten rod formations in CuーZnーAl alloys" Mat.Trans.JIM. 32,8月号. (1991)