1990 Fiscal Year Annual Research Report
反射電子顕微鏡による原子尺度でのダイヤモンド膜成長過程のその場観察
Project/Area Number |
02650465
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角田 直人 大阪大学, 工学部, 助教授 (20029200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保田 英洋 大阪大学, 工学部, 助手 (60210259)
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Keywords | 気相成長ダイヤモンド膜 / 結晶表面の微視的観察 / ダイヤモンド膜の成長過程 / 反射電子顕微鏡像 / 熱フィラメントー直流プラズマ複合CVD法 |
Research Abstract |
気相からダイヤモンドを合成する方法は数多く提案されているが、それぞれの方法には長所と短所がある。本研究では比較的容易に、かつ効率的に良質なダイヤモンド膜を合成することができる熱フィラメントー直流プラズマ複合CVD法を採用した。そこで本研究目的に都合のよい装置を設計し、製作した。製作した装置の主な特徴は、(1)成膜過程でのメタン及び水素ガスのプラズマ状態をそれらの発光プラズマ・スペクトルの測定で解析できる。(2)基板上に合成されたダイヤモンド膜は容易に反射電子顕微鏡の試料ホルダ-に取付けられるように工夫されているので、ダイヤモンド膜の成長過程をその表面の反射電子顕微鏡像により原子尺度で追跡できる等である。 現在までに本装置の各機能の良好な動作状態を確認するとともに,ダイヤモンド膜合成条件を確立する実験を行った。その結果、数多くの実験條件の内もっとも良質なダイヤモンド膜が合成される(イ)メタンと水素ガスの比、(ロ)膜合成室内の圧力、(ハ)フィラメント温度などの合成条件下で、フィラメントと基板の間に印加する直流電流を変化させることにより膜の成長速度を制御できることが判明した。 この結果を利用して、ダイヤモンド膜の合成過程を任意に制御することにより、反応ガスの発光プラズマ測定から得られるそれらのプラズマ状態と、膜合成過程の各段階(膜の核生成及び成長段階)における反射電子顕微鏡像から得られるダイヤモンド膜の各結晶面での表面の原子ステップの分布やその状態の変化を容易に比較検討する実験手法が確立された。
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