1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650467
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友清 芳二 九州大学, 工学部, 助教授 (40037891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 晶 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (60150520)
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Keywords | 収束電子回折 / 大角度収束電子回折 / 運動学的回折理論 / 原子変位 / アルミナ |
Research Abstract |
前年度は、大角度収束電子回折パタ-ン中の高次回折線の強度に解析することにより、単位胞中の原子の座標が求まることを明らかにした。さらに、この手法をαーAl_2O_3に適用し、AlイオンのC軸方向のずれ(静的変位)の量δの値を見積もった。今年度は解析に用いる運動学的回折近似の妥当性とその適用限界および解析に必要な温度因子、吸収係数の不確定性の影響、さらに解析精度におよぼす加速電圧の効果、電子密度とフィルムの黒化度の対応性の問題などを調べた。 1.αーAl_2O_3の00l系統反射の場合、l≫30の時の消衰距離ξ_1は700nm以上あり、厚さ200nm以下の試料を用いれば、運動学的近似があてはまる。したがってl≫30を満たす反射強度のみを利用すれば運動学的取り扱いができる。 2.解析の際にB因子を無視した場合と、室温での実測のB因子を使った場合とで変位量δは約10%異なる。B因子が小さいほど反射強度はδによってより敏感に変化するので、試料温度を下げる方が測定精度は向上する。 3.いろいろな吸収係数の値を用いて反射強度を計算した結果、求められるδの値そのもには影響を与かないことがわかる。しかし、試料の厚さが増大すると吸収のため反射強度自体が低下し、測定誤差が大きくなる恐れがある。 4.加速電圧の増加とともに、多波励起効果が増大し、l≫30の反射強度は低下するので、加速電圧はむしろ低いほうが解析にも測定にも好都合である。 5.回折パタ-ンの撮影にはフイルムの黒化度が飽和しないような適正な露出をえらび、2つの反射強度の大小の比較からδが決まるような反射を探すようにすればフイルム法でも十分な精度がえられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Y.Tomokiyo,N.Kuwano,T.Okuyama,K.Oki,S.Matsumura: "Convergentーbeam Electron Diffraction for Local Lattice Parameters in IIIーV emiconductors" Materials TransactionsーJapan Inst.Metals. 31. 641-646 (1990)
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[Publications] T.Okuyama,Y.Tomokiyo,S.Matsumura,N.Kuwano,T.Yasunaga,K.Oki: "Dynamical Diffraction Effect on HOLZーPattern Geometry for Semiconductor Alloys of Si_<1ーx>Ge_x and Ga_<1ーx>In_xAs" Proc.XIIth Int.Cong.for Electron Microscopy,Seattle,U.S.A.(1990). 2. 486-487 (1990)
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[Publications] Y.Tomokiyo,T.Kuroiwa: "Determination of Static Displacements of Atoms by Means of Large Angle ConvergentーBeam Electron Diffraction" Proc.X11th Int.Cong.for Electron Microscopy,Seattle,U.S.A.(1990). 2. 526-527 (1990)
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[Publications] Y.Suyama,K.Terasaka,Y.Tomokiyo: "Grain Boundary Structure of ZnOーBi_2O_3ーCoO Varistor" Proc.X11th Int.Cong.for Electron Microscopy,Seattle,U.S.A.(1990). 4. 374-375 (1990)
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[Publications] S.Matsumura,Y.Tomokiyo,T.Oboshi,K.Oki: "HighーVoltage electron diffraction study of structure factors of Pd and Pt" Ultramicroscopy. 39. 65-71 (1991)
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[Publications] Y.Tomokiyo,T.Kuroiwa,C.Kinoshita: "Defects occurring at or near surfaces of αーAl_2O_3 during electron irradiation" Ultramicroscopy. 39. 213-221 (1991)
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[Publications] 岡田 正和編,友清 芳二,他: "多目的電子顕微鏡" 共立出版, 474 (1991)
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[Publications] 日本電子顕微鏡学会関東支部編,友清 芳二,他: "先端材料評価のための電子顕微鏡技法" 朝倉書店, 382 (1991)