1990 Fiscal Year Annual Research Report
一次相転移を示す銅基合金における相分解と不規則化の競合
Project/Area Number |
02650468
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 範之 九州大学, 総合理工学研究科, 助教授 (50038022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 賢 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (20203078)
松村 晶 九州大学, 総合理工学研究科, 助手 (60150520)
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Keywords | 銅プラチナ合金 / 規則ー不規則転移 / 自由エネルギ- / 焼鈍過程 / 相分解 / 一次相転移 |
Research Abstract |
本年度は主として、Cuー39.2at%Pt合金における相分解過程について研究を進めた。まず、低温に保持してL1_1相に規則化させた後(L1_1+A1)共存温度領域で焼鈍した試料についてX線回析実験と電子顕微鏡観察を行った。特に、X線回析線位置から規則ドメイン内の規則度を精度よく求める解析方法を確立し、それにより焼鈍過程を詳細に議論した。その結果、次の結論が得られた。 1.(L1_1+A1)共存領域内のある特定の温度(T_c)より低い温度で焼鈍した場合、L1_1バリアント境界などにA1相が析出することによって相分解は進行する。この場合、L1_1相内規則度はまずわずかに減少した後、やや増加する。これに対して、T_Cより高い場合は一旦殆どA1相にまで不規則化したのち、新たにL1_1相が析出してくる。そのため、T_cの上下では焼鈍温度がわずかに違うだけで、最終的な合金組織は大きく異なってくる。 2.T_cを不規則相と規則相の自由エネルギ-が等しくなる温度、すなわち転移温度、と見なすと、本研究で明らかになった焼鈍過程の特異性は、合金系の自由エネルギ-を考慮することによって説明できる。合金系の自由エネルギ-を組成と規則度の関数としてGinzburg形の式で表示して、焼鈍過程を検討することを試みた。低温焼鈍(<T_c)ではA1相が析出する前にスピノ-ダル的に相分離する可能性も考えられたが、規則相の自由エネルギ-曲線が組成に対して上に凸になる領域は現れず、また実際に電子顕微鏡観察によっても積極的にスピノ-ダル分解を示す結果は得られなかった。 これでの研究で、L1_1からA1相が析出する場合は、バリアント境界などが核発生位置となることが確かめられてた。さらに逆位相境界の働きも非常に興味深いので、合金試料の組成、焼鈍温度を変えての実験を計画している。
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