1991 Fiscal Year Annual Research Report
一次相転移を示す銅基合金における相分解と不規則化の競合
Project/Area Number |
02650468
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 範之 九州大学, 大学院総合理工学研究所, 助教授 (50038022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 賢 九州大学, 大学院総合理工学研究所, 助手 (20203078)
松村 晶 九州大学, 大学院総合理工学研究所, 助手 (60150520)
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Keywords | 銅合金 / 規則ー不規則転移 / 自由エネルギ- / 焼鈍過程 / 相分解 / 一次相転移 / 逆位相境界 |
Research Abstract |
本年度は主に、Cuー25at%Pt合金とCuーNiーSn合金について研究を進めた。前者は周期的逆位相境界が焼鈍過程に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、後者ではスピノ-ダル分解が先行し規則化が誘発される合金の例としてとりあげられた。得られた主な結果は次のとおりである。 1.Cuー25at%Pt合金において、Ll_<2ーs>→Ll_2への転移過程における周期的逆位相境界の形態変化を電子顕微鏡を用いて観察した。その結果、周期的逆位相境界はヘアピン型配列を形成し、それが後退することにより消滅することが確かめられた。そのヘアピン形状の形成プロセスとして、隣接する逆位相境界が接する場合、熱的な逆位相境界を介する場合、などがあることを示唆する逆位相境界構造も観察された。 2.時間依存型ギンツブルグ・ランダウ展開による速度方程式を応用して周期的逆位相境界の挙動をシミュレ-ションを試みた。逆位相境界での規則度の変化の不連続性を考慮するために、界面エネルギ-の項を規則度の傾きに比例する項と規則度の2乗に比例する項とを考えた。規則化エネルギ-と界面エネルギ-に適当な値を与えることにより、周期的逆位相境界の実際の挙動を非常によく再現できることが確かめられた。 3.CuーNiーSn合金の焼鈍によるスピノ-ダル分解はNi組成が高いほど速い。濃度波の波長および振幅およびプロフィルの変化を明らかにした。 4.焼鈍初期にはDO_<22>型規則格子反射が電子回折パタ-ンに現れる。低Ni組成合金では焼鈍によりDO_<22>は発達するが、高Ni組成ではLl_2型規則格子に変化する。
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[Publications] 桑野 範之,浦園 丈展,沖 憲典: "Decomposition Process from Ll_1 to(Al+Ll_1)Involving First Order Transformation in a CuーPt Alloy" Materials Transaction,JIM.32. 438-444 (1991)
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[Publications] 相根 博道,桑野 範之,沖 憲典: "CuーNiーSn合金における変調構造の発達過程" 日本金属学会誌.