1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650470
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小山 泰正 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (20150295)
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Keywords | Cu_6Ce / 透過型電子顕微鏡 / その場観察 / 変調構造 / 濃度変調 |
Research Abstract |
低温で重い電子状態を示すCu_6Ceは室温からの冷却により、170K付近で斜方晶(空間群:D^<16>_<2h>)から単斜晶(C^5_<2h>)への強弾性相転移を生じる。本研究では,二の強弾性相転移の結晶学的特徴を透過型電子顕微鏡を用いて調べることを目的としている。本年度は,前年度作製したCu_6Ce合金塊から透過型電子顕徴鏡試料を作製し,170K付近で生じる強弾性相転移のその場観察を行なった。 透過型電子顕微鏡用薄片の作製は,まず合金塊を厚さ1.2mm程度に切断後ディンプルグラインダ-で20μm程度に研磨し,さらにMg(ClO_4)_2とLiClのメタノ-ル溶液を用いた電解研磨あるいはイオンミリングにより試みた。非常に多くの試みにもかかわらず,本合金の電解条件の設定は因難であり,本年度はイオンミリングにより得た薄片で観察を行なった。相転移のその場観察は液体窒素および液体ヘリウム低温ステ-ジを備えたHー800型透過型電子顕微鏡を用いて行なった。 観察から,室温での結晶構造は斜方晶(D^<16>_<2h>)であり,対応する明視野像には特徴あるコントラストは観察されない。一方,室温から冷却した170K以下での明視野像には〔410〕方向に垂直にはしる縞状コントラストが観察された。また,回折像には〔410〕方向に衛星斑点の存在も見出された。ここで,コントラストが空間的な原子散乱因子の変化によるものと理解されることから,本実験結果はCu_6Ceにおいて濃度変調による一次元変調構造の出現を示唆している。 結局,本研究は170Kと言う比較的低温での濃度変調による変調構造の出現を明らかにした。しかしながら,この現象は従来の常識を大きく逸脱するものであり,現在その物理的起源について検討中である。
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Research Products
(1 results)